2012-01-01から1年間の記事一覧

終わったあ!

今年の仕事も夜の9時半になり終了。 思わず「終わったあ!」と、嬉しさ一杯の声を吐き出した。 明日から少しゆっくりできる。6日間の休みなんて滅多にとれないので、この6日間をどのように過ごそうかと、あれこれ考えた。 そうだ、たくさんの人達が里帰りす…

冬のカメムシ

普通の年なら、秋にカメムシがかなり発生して、我々を悩ませる。 あの独特の臭みには閉口だ。 今年はどうしたのか、この寒い中、温かな我が家の居心地に味をしめて(?)カメムシが侵入してくる。 秋には年内の活動を終了して、冬には姿を見せないのにどうし…

午前3時のクリスマス・イブ

午前3時、あまりの寒さで目が覚める。 いつもなら、そのまますぐに眠りにつけるのに、中々眠気に誘われない。 TVをつけて、チャンネルを変えていく。 NHKでは、歌番組を流していた。 出演者は「キャリーばみゅばみゅ」という、最近名前をよく聞くアー…

連載を終えて

この小説は、2011年の秋から冬にかけて、創作したものです。 もう、何年も前の話しになりますが、私の大好きな九州山地の高原を、友だちと散歩していて、ヒゴタイというキク科の植物に出会いました。 花が球形をしていて、瑠璃色のそれはそれは特徴ある…

幻影の彼方(72)

大きく手を振って安川を見送っていた瑞希が 「安川さんて、まるで誠ちゃんのお父さんみたい。いろんなことに気がついて、優しさがあふれている人ねえ」 「そうなんだ。顔はちょっと見には怖いけど、ほんとに優しい人だよ。それにしても、安川さんも瑞希も、…

幻影の彼方(71)

菅野が門脇と会い、犯行を行なっている時刻に、もともと体型が菅野に良く似た木田は、同じ服装や帽子、サングラスなどを用意する。はな阿蘇美を出るときと、帰ってきたときに、菅野がはな阿蘇美の従業員に顔を見せる。 その他の時間は、木田が目立つ行動を取…

幻影の彼方(70)

昨年に入り菅野は、村井建設の専務である村井隆から、耳寄りな話を持ちかけられた。 村井建設というのは、福都市に隣接する地方都市の中堅ゼネコンで、専務の村井隆は、社長の村井幸次郎に目をかけられて、婿養子に納まった人物である。 しかも、この村井隆…

幻影の彼方(69)

二人が菅野や木田の身辺の洗い出しを相談しているとき、再び管理官から呼び出しを受けた。 何事かと、部屋のドアを開ける。そこには、田代警部も待ち構えていて 「中国道に設置されたNシステムからの、面白い映像が届いたよ」 安川と長尾は、その言葉に顔を…

幻影の彼方(68)

久賀管理官を筆頭に、捜査本部のベテラン刑事など、大勢の捜査員たちの視線を浴び、長谷部は緊張した顔で前へ進んだ。 ボードに、熊本県の阿蘇地方の大きな地図を、貼り付ける手先が細かく震えている。長尾はそばで、そんな初々しい長谷部の態度を好ましく見…

幻影の彼方(67)

トイレのドアが開き、ハンカチで手をぬぐいながら長谷部が顔を出す。 「長谷部さん、昨日の阿蘇市行きは、大成功だったようです。私の狙い通りの結果が、鑑識さんから知らされました」 「それは良かったですねえ。まだ、詳しいことは解からないのだけど、昨…

幻影の彼方(66)

幻影の彼方 安川の言葉どおり、長尾は夢見る暇も無いほど、ぐっすりと眠ったらしく、いつもとは逆に安川に起こされた。 「よく眠っていたなあ。毎日あちこちと遠距離を飛び回るので、さすがの君も疲れが溜まってきているのかな」 「すみません。警部補に起さ…

幻影の彼方(65)

長尾は、瑞希の思わぬ積極的な行動に、ビックリしながらも、心地良く感じられる夜気を一杯に浴びて、教えられた地下鉄の駅を目指した。 駅には5分ほどで着いた。 ホームに立つと携帯が鳴る。瑞希からのメールであった。 「誠ちゃん、落ち込んでいた私を元気…

幻影の彼方(64)

長尾はホテルを出て、手土産をと思い、付近の店に立ち寄る。どんなものが良いかと品定めをしているうちに、瑞希の妹のことが頭に浮かんだ。 お菓子など食べるのだろうか。身体のどこが悪いかで、食べ物を手土産にすることを控えねばならない場合だってある。…

幻影の彼方(63)

陽が西に傾き、特に用件の無い捜査員たちが、帰宅の準備を始める。捜査本部を立ち上げた直後であれば、本部で寝泊りは当たり前のことであった。しかし、日を追うごとにいろんな事実が解明され、本部詰めの捜査員たちにも事件解決が近いという、気持ちのゆと…

幻影の彼方(62)

そんな長谷部の胸中を察したのか、長尾が近寄り 「長谷部さん、今日はありがとうございました。鑑識の結果を待たないと、恥ずかしくて詳しい話は出来ませんが、もし、期待通りの結果が出たら、あなたに一番に報告させてもらいます」 長谷部には、長尾の自分…

幻影の彼方(61)

トシちゃんのとなりで、口数を控えて座っているもう一人のお婆さんに 「昨日、22日にもらったお菓子を、仏壇にお供えしていると云ってましたね」 「そげえタイ。わしが食べるよか、孫に食べさせたいもんね」 「それを私に預からせてもらえませんか?お孫さ…

幻影の彼方(60)

長尾は、部屋に入るなり 「警部補、起きてください。もう、7時を過ぎています」 その呼びかけに反応せず、安川は寝息を立て続けている。何かおかしいぞ。安川さんは、いくら疲れていても、こうぐっすりとは眠りこけない。 長尾は、恐る恐る安川の額に手を当…

幻影の彼方(59)

長尾は、安川との話を元の話題に戻そうと 「繰り返しになりますが、僕は秋元くんの証言を信じます。一方で、今日の”はな阿蘇美”での聞き込みは、それを否定することだらけでした」 「そうだよ。俺は聞き込みを重ねて行けば、行くほど、菅野のアリバイの完ぺ…

幻影の彼方(58)

3人は”福の神”を後にして、右手に田園が広がる細い道を進んだ。人家がポツポツと並び、10分ほど歩いたら銀行や医院に混じり個人商店が点在する、賑やかな通りに出る。 都会の商店街とは違い、アーケードなどがない広い道路の両脇に、いろんな店が並んでい…

幻影の彼方(57)

3人は外へ出て、建物の前を掃除していた中年の女性に 「あなたはこの人を、先月の22日に見かけましたか?」 と、聞いてみた。 「その日は、子どもが熱を出して、私ここを休みました」 「この辺りでブラブラ散歩というと、皆さんどこを回りますか?」 安川…

幻影の彼方(56)

その頃、安川たち3人の捜査官は、熊本を出発して片側一車線のカーブの多い道路を、阿蘇市の内牧温泉へ向かって車を走らせていた。 内牧には、熊本から大分市へ続く国道57号線を東へ、大分方面を目指して走り続ければよい。 3人を乗せた車は、1時間半ほ…

幻影の彼方(55)

「休みが終わったので、両日とも病院で勤務していました。23日は、夕方に仕事が終わり、家族で市内の焼肉店に出かけましてね。アルコールが入ったので、家内に運転してもらい、そのまま家に帰りました。家に帰りついたのは10時過ぎでしたねえ。その後、…

幻影の彼方(54)

阿蘇・内牧温泉 その夜、二人は倒れこむようにベッドに身を横たえ、何もかも忘れて眠りの世界へといざなわれていった。 睡眠をたっぷりとった二人の捜査官は、気持ちの良い目覚めを迎えた。 やがて、長谷部が到着して、安川たち3人は、熊本へと向かった。 …

幻影の彼方(53)

安川が意気込んで、長尾に語りかける 「菅野でスーさん、先生と呼ばれていたこととも符号します。この男に間違いありませんねよ」 長尾も興奮さめやらぬ顔で応じる。 連日の強行軍で、疲れはピークに達しているはずの二人であったが、ついに本ホシへたどり着…

幻影の彼方(52)

久賀管理官は、長尾からの報告を受け 「これで突破口が見つかったなあ。いやあ、ご苦労様でした。皆さんの執念の捜査が実りましたねえ」 労をねぎらう久賀警視に、安川が 「あとの捜査会議で、菅野のことに触れますが、それまでに菅野について、情報をもう少…

幻影の彼方(51)

この湯布院行きは、今度こそという意気込みが強かっただけに、車に乗ると疲れがみんなの身体をいじめてくる。 九州道を北上しながら 「本部の方では、村井の取調べが進展しているのでしょうかねえ」 長谷部がハンドルを握りながら、力なくつぶやく。 「さて…

幻影の彼方(50)

「その祐ちゃんという人は、どこに住んでいるのですか?」 「この近くですが、彼はもう居ませんよ。まだ、大学院へ通っていて、数日前に大学の方へ帰ってゆきました」 「それは、どこのなんていう大学ですか?」 「熊本の肥後学園大学です。理学部の院生なん…

幻影の彼方(49)

次の日は、朝から雨模様であった。日照りが続きカラカラに乾燥した空気に辟易していた捜査員たちへ、気温の低下と潤いは、格好のプレゼントになったようだ。 安川も朝から機嫌が良い。 「今日の湯布院行きで、ホシのめぼしがついた夢をみたよ」 「警部補でも…

幻影の彼方(48)

中央署へ帰り着き本部へ挨拶に行くと、こちらでも捜査が思い通りに進展していない様子が伝わってくる。 長尾たちを見つけた谷口がやって来て 「お疲れさんでした。どうでした?あちらでの聞き込みは?」 「対象者が広範囲に住んでいるため、一日や二日では全…

幻影の彼方(47)

アポロ・クラブ わが国には、根強い欧州車のファンが多い。同じメーカーの車のオーナー同士が、情報交換や親睦などの目的から「○○クラブ」といった、冠に自動車メーカーの名前を付けた組織が多く、それぞれが組織した目的に合わせて楽しんでいる。 スエーデ…