贔屓の引き倒し?


 大分県日出町まで1100キロを歩いて帰ると宣言していたスーパーボランティアの尾畠はるおさん。

 その帰省の様子をテレビ局が追いかけ、消息を伝えていたが、数日前ぷつんと途絶えた。

 神奈川から静岡県へと入り、沿道ではファンや帰省のお手伝いをしょうとする人々が行く先々で待ち構えている。そんな映像を見るたびに私はハラハラと要らぬ想いがしていた。

 元気者の尾畠さんのこと。1日に30~40キロ歩けばひと月前後で帰宅できるな。と考えていたのだが、律義な彼は沿道で待ち構える人を無視できない。ところによっては長い行列をつくり順番に握手を求められたり、サインを頼まれたり。中にはぜひとも”ハグ”したいと言う人も。

 結局、神奈川県を通過するのに予定を大幅に超え、その足運びは静岡県ではさらに遅くなった。しかも、日に日にプレゼントの荷物が多くなり、途中でリヤカーが差し入れられたが、重さで壊れるハプニングも。

 沿道で待つ人々の善意は分かるのだが、79歳のお年寄りだ。行く手を邪魔することなく距離を置いて見守ることはできなかったのだろうか。

 昨日は、テレビ局の取材で、娘さんの協力でとうとう車で帰郷したということがわかった。
 ご本人は徒歩で帰れなかったことや、沿道で待っていてくれる人に申し訳ないとの想いを語っていたそうだが、高齢ではあるし私は途中からの方針転向は良かったなと、ホッとした気持ちになった。

 有名になれば、良いこともたくさん増えるのだろうが、良いことばかりではないという見本を見たような気がする。
 彼が目指すボランティア活動にも支障が起こりかねない。

 彼の意思を貫徹していただくためにも、騒がず静観するといった態度が望まれるなあ。そしてマスコミも同じような姿勢で対応できないものかと…。