入国管理法の審議は慎重に


 私は安倍政権の支持者であるが、今、国会で審議されている入国管理改正法案には、疑問が膨らみ続けている。

 経済の発展は、その国にとり国防と並んで最重要の課題であることには異論は無い。

 それが、少子高齢化による産業人口の減少で、今のままで推移すると国家経済は疲弊の一途をたどるだろう。経済界が危機感を募らせるのも理解はできる。

 特に、地方の中小企業では、人手不足による倒産が相次いでいて、労働力の確保は死活問題であることは間違いない。

 だが、慎重さを欠く法案の整備で、無理に事を急ぎ過ぎるとそのしわ寄せはすぐに国民へ跳ね返る。

 EUの覇者、ドイツが難民の受け入れでメルケル政権がアップアップしている。アメリカではホンジュラスから押し寄せる人々に対して厳重な入国拒否を示しているが、通過国のメキシコでは、治安が悪化、住民はとても迷惑している。

 日本が数十万人の外国人労働者を受け入れたときの国内の状況を想像して欲しい。
 言語が通じない。生活習慣がまるで違う。宗教的な生き方の違い。日本流のマナーが守られるのか。などなど、準備不足で受け入れると、国内は大きな混乱が生じるのではないか。日本が世界に誇る健康保険制度や福祉などが外国人のために崩壊する恐れも出てくるだろう。

 私の住む小さな町でも、ベトナムからの農業実習性が後継者の居ない農家で働いている。隣町へ車を走らせていると自転車に乗った集団とすれ違う。皆さん明るい笑顔でさっそうと行き来している。この人たちは日本での生活に一応の満足はしているのだろう。

 だが、怪しいブローカーの介在で多額の借金を抱えて入国。なんとか仕事にはついたが仕事先で搾取に会い、予定が狂った外国人は仕事場から姿を消す。挙句の果てに犯罪に手を染める。

 被害者は善良な日本人だ。違法な渡航を進めるブローカー対策。日本での外国人労働者を約束通りの給与を払わず搾取する経営者などへの罰則や対策も当然必要だ。

 今回の入国管理法改正案では、そのあたりのことには全く触れられず審議が進められているのではないか。
 経済界が、低賃金で労働者に働いてもらう。このことに焦点を当てると必ずいろんな面、いろんな人々から不満が起こると思われる。

 例えば、元気な定年退職者、子育てを終えた主婦、生活保護者の中で体力的には十分働ける人、など、国内での雇用も視野に入れて慎重な法整備を進めて欲しい。

 無理にこの法案を通せば、来年6月の参院選への安倍政権へのノ―が突きつけられることも大いに有り得る。安倍首相にはもう少し頑張って政権を運営してほしいからこんな意見になってしまった。