安倍総理への提言


 安倍総理プーチンロシア大統領との会談で、北方領土返還に関するのめり込み方に、不安を覚えてならない。

 戦後70余年、日本の誰もが成し遂げられなかった、北方領土の返還交渉を自分の手で成し遂げたい。との意欲は良く分かる。
 だが、今のプーチンの反応を見ていると、日本からの経済支援は欲しい。しかし、領土交渉ではここまでしか譲れないという確固たる信念で日本に迫っているような気がしてならないのだ。

 面積にすると、ロシアの広大な領土からしてそれこそ”猫の額”にも満たない歯舞・色丹ノ2島だ。
 しかも、1956年に交わした日ソの共同宣言を基礎にする。これには土地は返還しても「主権」の帰属は明記されていない。と、新たな問題点をつくりだし交渉のまな板へ載せようとしている。

 まず、領土の返還であるが、その引き渡し文書に主権はどこに属するかなどと書かれていなくても、領土交渉では返還と同時に主権も引き渡されるのが、常識ではないのか。

狡猾なプーチンは、この新たな問題を持ちだして、”いいとこどり”を狙う。これには色丹島に暮らすロシア人への説得などもその要因としてあるのだろうが、主権がロシアのまま土地だけ返還というのは、土地はあなたにお貸ししましょうという、中国政府の国民への土地利用と変わらないのではないか。

 それにプーチンは、自分の言い分はどんどん主張するが、60万人にも及ぶ日本兵、日本人のシベリア抑留。その中で6万人もの人々が命を落とした(産経抄から引用)このことに対する謝罪の言葉は一切出ていない。産経抄ではこのことも話し合いのテーブルに乗せろと主張している。

 元々4島は終戦時のどさくさに紛れて、火事場泥棒的に奪われた島々だ。
4島一括返還が当たり前の話ではないか。

 2島返還してというのは、当時の日本の国情、ロシアの日本への国連参加への態度、抑留されている日本の人々などの諸問題があって、日本政府が渋々応じた話だと思う。

 しかし、択捉も国後もれっきとした日本の領土だ。
安倍首相には、安易に2島返還で妥協してもらっては困る。

 今、尖閣諸島を狙う中国、竹島を不法占拠している韓国は、この成り行きを大方の日本人以上の熱心さで注目しているであろう。

 日本政府が、プーチンの思惑のまま妥協することになれば、中韓は、領土では日本ほど与し易し国は無いと、これからの出方を変えてくる可能性もある。

 日本は、領土に関しては、国民の幸せの為にこれだけ厳しい出方をする国だということを、内外に示して欲しいと私は思う。少なくとも、国後や択捉で生活していた島民の皆さまは、私たちと同じ日本人だ。

 無法に生活の拠点を奪われた人々のためにも、総理はどこまでも4島一括返還にこだわり、それまでは経済支援などは一切行わないという毅然とした態度で臨んでいただきたい。

 そして、憲法を改正して国力を上げる。アメリカとの同盟をいっそ強くしてにらみを利かせる。このような具体的な態度に出てもらいたいものだ。

 最後に戦後教育のひずみから、自虐史観が刷り込まれた多くの日本人は、自分の生活に直面しないところのことについては、とても淡白で無関心な人が多い。
 いつであったか、参議院議員山本太郎が「竹島など韓国にやってしまえ」と暴論を吐いたことがあった。

 国民の意識の中には、これと変わらぬ心情をお持ちの方も多いのではないか。
国民にとり、領土はどのように大切なもので、自分たちの生活にどんな影響を与えるのかなどを、啓蒙していく政府や識者の努力も必要だと思う。