憲法改正の論議を高めよう


 私は最近親しい友人や知人との会話で、意識的に憲法改正の話題を口に出す。
残念なことに、私の周りは憲法の改正には消極的、いや、否定的な人が多い。

 困るのは、「憲法を改正する必要はない」という意見は、はっきりと述べるのだが、どうして改正の必要がないと思うのかということに、情緒的な回答しか返ってこないことだ。

 理由の一つで「日本は今の憲法のもとで、平和に暮らしてこれたから」という意見が多い。中国の台頭をどう思うか。中国が尖閣諸島を狙っていることについてはどうなのか。などの質問をすると、「中国も多くの人口を抱えて大変だろう。もう国内だけでは飽和状態なのではないか」とか「まさか中国が尖閣を狙うなんてことは無いだろう」など極めて楽観的な答えが返ってくるのだ。

 私は、ああ、この人とこんな話題でおしゃべりしても時間の無駄かと、あきらめの気持ちが頭を支配して、だんだん話題から遠ざかってしまう。

 そんな中で、「頼るな、備えよ、… つよき日本へ」という演題でジャーナリストの櫻井よしこ氏が講演を行ったという記事に触れた。

 ニュースソースはもちろん産経新聞である。

 きちんと全文の引用はしないが、その記事によるとアメリカが世界の警察はヤ―メタと宣言したオバマからアメリカン・フアーストを掲げるトランプへ代わり、日本はいつまでもアメリカ依存の体質から抜け出すべきであるということ。

 続いて櫻井よしこ氏は、昨秋の共産党大会で2035年までに経済で、さらに中国共産党結党100周年の2049年までに武力でも米国を追い抜き、世界最強国になると宣言したと、習近平の野望を詳細に説いた。

 さらに櫻井氏は国民運動として1000万人を超す憲法改正を求める署名が集まり、戦後初めて衆参の改憲勢力が改正の発議に必要な3分の2以上を占めているとしながら、「それなのに永田町の動きは実に緩慢だ。日本の国会議員は何をしているのか」と檄を飛ばしている。

 また、国民の側から、国民の権利でありながら、これまで一度も行使できなかった憲法改正国民投票を行えるよう「国民が声を上げていくことが重要だ」と訴えた。

 講演内容はまだまだ続くのだが、ここまでにしておく。

 ところで、私は今までの職業柄、50年近くを青少年との関わりをもって社会とのつながりを保ってきた。今ではその青少年たちも壮年となったり、社会の中枢で活躍している。そんな人たちと会って言葉を交わすとき、政治がらみの話題になることも多い。

 私が中国などの脅威について話をすると、シナ事変、大東亜戦争の原因、南京事件などでは、ほとんどが学校で学んだ知識の範囲でしか判断ができない。

 戦後のどさくさで、り・ラインが引かれ、竹島が不法に占拠されたことや多くの日本人が拿捕されたり殺されたりしたことなど、ほとんど知らない。

 つまり、日教組の戦術とマスコミの知らせない権利の行使により、見事なまでに自虐史観にのめり込んでいるのだ。

 これまでの日本の歩み、今の日本の在り方からどのような未来が想像できるかを一緒に考えると、初めて日本が置かれた現状の怖さを 理解してくれる。最後に憲法を改正しなければならない必要性についても納得してくれるのだが、自民党にはこのような国民への啓蒙の努力があまりにもたらないのではないか。

 櫻井よしこ氏もそこのところを心配されていると思われる。そして、日本置かれた立場、すぐそこに迫る危機などを具体的に説いていけば、理解者はもっと増えるのではないかと思ってならないのだ。

 ただ、日本人の平和ボケを嘆くのではなく、近隣のチベットウイグルの人々の現状なども大いに説明して、そのことと自分たちの未来の姿を対比させながら、祖国の防衛についての論議を活性化させる必要があるのではなかろうか。

 長くなったのでこのあたりで止めにするが、憲法改正自民党の党是である。
それなのに党内からも改正についての不協和音が出ている。
 あるいは、もう議員を辞めた元職が老害を振り撒く。この御仁たちは子孫の繁栄や幸福を願う気持ちは無いのだろうか。