日中の第三国経済協力に、前のめりになることを恐れる



 安倍首相の三選が決まり、10月に入れば党役員の人事に続き、新たな組閣で党内がざわつくのであろう。
 今後の首相の仕事ぶりに注目が集まるところだが、10月には訪中もなされるはずだ。

 今年5月の安倍・李克強会談で、第三国でのインフラ開発協力が話し合われたが、今度の訪中で具体的なことをどのように決めて行くかが、最も大きな議題になりそうである。

 私が心配になるのは、安倍・プーチン会談が何度も行われたが、ロシアは会談に応じても一番肝心な北方領土の返還交渉には、乗ってはこない。にもかかわらず安倍首相の何とか実績を挙げようと、北方領土での開発及び経済協力などを提案したりの、何とか打開の道を探そうとする対応の仕方だ。

 日中間でも、訪中の成果を急いで中国ペースにはまりこむことだけは、避けなければならない。

 中国は一帯一路構想の実現のため、途上国へのインフラ投資を積極的に行い、借金漬けにする。その挙句スリランカのように、高利のため返済不能に陥りハンバントタ港を中国企業に乗っ取られるという事態が生じている。

 安倍首相は自由で開かれたインド太平洋戦略を提唱し、インフラ開発には「開放性、透明性、経済性、対象国の財政の健全性」が必要だと強調している(産経ニュースより引用)

 しかし、中国は日本の対応の仕方いかんでは、上手く日本を利用しょうとするに違いない。
 中国はOECDの非加盟国だ。一帯一路の巨大経済圏構想では、そのインフラ開発手法には大きな疑問と批判が出ている現実がある。

 日本政府は、第三国協力に対しては、日本のインフラ開発の基準を順守する方針だと聞いているが、中国が勝手に”日本の一帯一路に協力を取り付けた”と、国際的に宣伝すれば、下手をすると日本の信用まで失いかねない事態となる。

 とにかく、日本政府の思惑とは別に、中国でのビジネス拡大を期待する財界の要望を何処まで無視できるかにも、このことは関わってくる。

 安倍政権は、中国に呑み込まれることはなかろうが、前のめりのならぬように慎重に訪中の計画を練ったうえで臨んでいただきたいものだ。