ベトナム戦争の英雄、日米同盟を強固に支持した米国マケイン上院議員の死を悼む



 外国の議員の一人一人がどんな人で、どのような過去があるかなど、知る由もないのだが、先日脳腫瘍のため亡くなられたジョン・シドニーマケイン三世については、日本にとって強力な理解者で、何よりも日本との軍事同盟を強固に支持された人物として印象に残る外国人政治家だと思っている。

 ベトナム戦争で撃墜され5年余にわたる捕虜生活を余儀なくされた。当時、彼の父親が米海軍大将でその階級から特別の捕虜解放を持ちかけられたということだが、彼はそれをきっぱりと断った。

 その後ベトナム戦争は終わり、解放された彼はベトナム戦争の英雄として、故国に迎えられた。その後、政治家の道を志し、下院議員を経験し、それから上院議員へと転身した。

 彼の歯に衣着せぬ言動が多くの人に支持され、大統領候補になったが予備選で当時のジュニア・ブッシュに敗れた。ブッシュ時代が終わり民主党からオバマが大統領候補として台頭。その時はオバマ氏との一騎打ちに敗れ、大統領にはなれなかった。

 近年は、脳腫瘍を患い、病気との闘いながらアメリカの行く末のために、尽力を注いでいたらしい。
 彼の国防、自由陣営の結束、民主主義を守り抜くという信念は、対日関係でもぶれることなくはっきりとしていた。

 アメリカでは、一部の議員による日本の防衛力強化は、アメリカにとってもろ刃の剣だと主張する者があったのだが、彼は一貫して日本との軍事同盟の強化の必要性をを主張した。

 彼の分析に頭が下がる想いをしたことも度々だ。例えば、一部で日本の軍事力強化が軍国主義復活につながるという主張に対し、それはあり得ないことだ。むしろ消極的平和主義の方が問題だと言い放った。

 また、日米同盟の強力な支持者であった彼は、日米貿易摩擦で米国議会に出た日本への制裁法案には、全て反対を唱えた。

 私は、わが国の防衛で一番の心強い味方が、一人亡くなったことが残念でならない。年齢から次に大統領になることは無理でも、強いご意見番としてアメリカ議会ににらみを利かせて欲しいと常々考えてきた。

 まだ、若いがルビオ議員あたりが、成長してマケイン氏の後継者になればと思うのだが…。