台風を待つ


 台風15号が九州に近付いている。
いつもなら、暴風雨で吹き荒れる中、いろんなものが飛ばされないように、家の周りを点検して備えるのだが、15号台風は気圧も下がらないし、暴風の範囲も狭いようだ。

 風の強さもほどほどらしいので、もっぱら台風による雨の恵みを待つ心境だ。

 元々、雨の少ないところなのだが、今年は特に少ない。
12号の時、恵みの雨となったが、雨量は100ミリ程度でそれ以来日照りが続いている。
 家庭菜園のナスとキュウリはすっかり葉を巻いて黄色く変色してしまった。オクラやリーフレタスも成長が止まった。ブル―ベリ-の新芽も茶色に枯れて元気が無い。暑さに弱い山椒の木は5本のうち3本が枯れた。

 15号台風が雨を連れて来てくれれば、野菜や木々が生き返るのだが、何しろ自然任せ、どうなることやら。

 台風が来てくれるのを待つなんて心境は、子どもの頃「台風が来れば学校が休みになる」とワクワクして待ったことを思い出す。
 大人たちは、この迷惑な台風がそれてくれることを神頼みしたものだが、今回だけは小学生の気持ちと同じで、近所の人と顔を合わせたときの声かけは「台風でも来れば良いのになあ」だ。

 県内では水不足が深刻さを増し、耶馬渓ダムなどは止水制限が始まるらしい。
イネはそろそろ花をつける頃で、水が特に必要になる。

 台風の進路が少しでも北に偏るようにと願うこの気持ちは、何十年も生きて来て初めてだ。風はいくらか強くなってきたが、頼みの雨が降りそうな空模様とは程遠い。