7月24日 産経抄から


 テレビ東京で放映されている「池の水をぜんぶ抜く大作戦」を見るたびに驚かされる。在来の生き物を食い荒らす、ブルーギルカミツキガメといった「特定外来生物」の脅威は想像を超えていた。

 ▼もっとも奴らには何の罪もない。ただ、人間の都合で一方的に連れて来られ必死に生きているだけである。最近世界を揺るがす大問題になっている海洋汚染問題も、原因となるプラスチックを悪者に仕立てても解決には結びつかない。

 ▼カリブ海に浮かぶドミニカ共和国の海岸には連日、大量のプラスチックごみが押し寄せる。ショベルカーでかき出しても追いつかない。タイでは死んだクジラの胃から重さ8キロを超すポリ袋が見つかり、国民に衝撃を与えた。

 ▼世界で海に捨てられるプラスチックは年800万トン、500ミリリットル入りのペットボトル換算で3200億本分と推計されている。これらのごみはやがて細かく砕かれ、食べた魚を通じて人間の体内に入り込む可能性もある。

 ▼欧州連合EU)はストローなど使い捨てプラスチックの使用を禁止する規制案を公表した。米国の大手コーヒーチェーンもストローの使用をやめるという。悪いのは捨てた人間にもかかわらず、プラスチック自体に逆風が吹きかねない状況に、業界では危機感が高まっているようだ。「化学工業日報」は先月、「今こそプラスチックの有益性を考えよ」と題した社説を掲載していた。

 ▼日本の取り組みについても誤解がある。先月のG7首脳会議で、日本は「海洋プラスチック憲章」署名を見送り、批判を浴びた。安倍晋三首相は実は、より多くの国を巻き込む必要性を訴えていた。トップクラスのリサイクル率を実現している日本は、世界をリードする立場である。

      引用終わり

 プラスチックごみによる海洋汚染、私も随分前から気になっていた。
関東では、太平洋に面する立地のためか、東シナ海日本海を漂流してやってくる大量の廃棄物についての話題は語られているのだろうか。ほとんどは腐敗などとは無縁なプラスチック製品である。

 波打ち際に打ち上げられた廃棄物には、ハングル文字が書かれている。明らかに朝鮮半島から廃棄された品物だ。中には変な色の液体が入っているものもある。
これらが海流の影響で、日本海沿岸の市町村の浜辺に漂着するのだ。

 今、これをさらに大きくした規模で、マイクロプラスチックなどを食べた、海の生き物が次々に犠牲になっているニュースが報じられる。
 ”産経抄”氏の意見通り、プラスチックそのものの罪ではない。外来特定生物だって同じだ。すべての罪はそれを利用した人間にある。

 安易に自分さへ良ければと、平気でゴミを海へ捨てる。飼っていた生き物への愛着が薄れ、或いは大きくなりすぎて持てあますようになったとかの理由で、池に捨てられる生き物たち。
 このような人間に、プラスチックを便利に使う資格はあるのだろうか。ペットを慈しむ資格があるのだろうか。

 安倍首相が「海洋プラスチック憲章」の署名を見送ったことで、批判が起こるのもおかしい。この問題はG7など主要7カ国だけで解決できるものではないのだ。
 多くの国々を巻き込んで、このまま海洋汚染が広がるとすべての人間に大きな災いが降りかかることを、世界規模で訴える運動こそ必要だ。

 日本の進んだリサイクルの実績、ノウハウなど、率先して諸外国へ伝え、1日でも早くきれいな無害の海が読みがえることを願ってやまない。