トランプの通商政策とブーメラン


 「アメリカの魂」とたたえられるオートバイは、1903年中西部ウィスコンシン州の粗末な小屋で誕生した。

 マシンの名前は、開発者のウイリアム・ハーレーとダビッドソン兄弟に由来する。

 日本で広く知られるようになったのは、69年公開の映画「イージー・ライダ―」の力が大きい。
 無頼な男たちが、ハーレー・ダビッドソンにまたがり、大陸を疾走する姿は、自由の国・米国を象徴していた。

 ここまで、「産経抄」6月27日より引用

 私は高校生の昔から、このバカでかいオートバイに、畏敬の念と憧れを持ち育った。その頃の、日本の軽自動車の排気量は360CC、ハーレーは2輪車のくせに1300CCと、馬力、出力などで日本の小さな4輪自動車を圧倒していた。

 この、ハーレーまたがったライダ―たちが、大分から熊本の飯田高原瀬の本高原と”やまなみハイウエイ”をエンジン音を響かせ爆走する姿は、背景の九重連山に溶け込み素晴らしいシチュエーションを生み出していた。

 阿蘇の外輪山が望める大観望まで行くと、ハーレーの愛好者たちが、十数人集まり、自分の愛車を自慢そうに会話する姿を、眺めたりもした。 
 私は、体格からこんなデカイ2輪車には到底乗れそうにないので、いつも羨ましく眺めるだけだった思い出がある。

 米国のトランプ大統領が、次々に打ち出す通商政策で、貿易面の関税をアップする貿易戦争は、初めは中国だけが標的だったのではないか。
 それが、日本、EUへと広がり、大統領選の時の公約”アメリカ・ファ―スト”を実行るする段階で、貿易戦争に火がつき、どんどん世界中へ広がりを見せ始めた。

 当然、関税率を一方的に20数%も引き揚げれば、他の国も黙ってはおれない。
中国は、すぐに報復措置として、米国からの輸入品に同じような高い関税をかけることで応酬。

 日本もEUも米国のなすがままにはしておれない。
そのあおりを食ったのが、ハーレー社ではないか。ハーレー社は苦渋の決断といおうか、この会社は、生産拠点を米国以外の国へ移すことを決めたようだ。

「米国の魂」とまで称賛されてきた、ライダー憧れのオートバイがメイドイン○○と変わることに、トランプ氏はどんな想いをしているのだろうか。