ささやかな地域の活性化


 ここ数年、私の住む地域では若い家族の新築が盛んだ。
今朝は、先日上棟式を済ませた私の家の前で、屋根瓦の設置が始まった。

 自治体では、なんとか過疎を食い止めようと、子育て支援、転居して来る家族への一時祝い金、高校生までの医療費無料化などでの予算措置を行っている。

 ときどき、こんな手厚い支援をして市の財政は大丈夫なのかと、不安もよぎるのだが地域が賑やかになるのは良いことだ。

 朝、ゴミ捨てで戸外へ出ると、20人くらいの小学生や列をなして進む自転車での中学生、車で送られてくる高校生などと行き違う。この光景を見送る私は、気持ちの良い心地よさに満たされる。
 高校生、とくに男子の学生は、よく「お早うございます」と挨拶をしてくる。

こんなとき、今日も一日よい気分で過ごせそうだと、身体じゅうに温かさが伝わる。

 私の家から、半径300メートル以内で、この3年ほどで8件の新築が行われた。2軒を除いてみな小学生の子供を持つ若い家庭だ。
 地域で賑やかな子どもたちの声が聞こえてくるのは、明るい未来を予想させてくれこちらも元気がもらえる。ただし、聞くところによると、平成の大合併で近郊の自治体を吸収してからは、山あいの過疎の地域からの若い移住者が便利の良い市の中心部に進出、不便な周辺地域では過疎化が急激に進んでいるという。

 この現象は、新たな心配の要因にもなっている。

 ところで、私の家の周辺では、未就学児童や小学校に入学したばかりの子供を持つ家庭が増えている。
 中にはやんちゃ坊主などが居て、平気で我が家の敷地内に入ったり、門柱がわりのプラステイックの鎖に腰かけたりする子も居る。家内はその度に鎖を切られると、ハラハラしている。私はやんわりと注意する。昔はいきなり大声でどなり起こっていたが、最近は随分対応が違ってきた。

 高台で津波や水害の心配がない。小中高と学校はすべて徒歩で10分以内で登校できる。市役所や警察など官公庁が近いなどの環境の良さが、少しずつ移住者を増やしているらしい。

 地域の活性化は時間と費用がかかる。それでも、動きが止まらないように息長く今のささやかな成長が続いて欲しいものだ。