日本流の笑い



 今、テレビでの長寿番組「笑点」が話題になっている。
この番組の大ギリでの政治風刺の場面に、拍手するものと、苦々しく思っている者、賛否両論が話題のもとらしい。

 私も、立川談志が司会をしていたころは、面白さを感じてよく見ていた。
それから、司会も交代、メンバーも入れ替わり、だんだんと面白さが薄れた言った。

 今回の政治風刺では、耳をふさぐしぐさで一言を述べる”お題”であったらしいのだが、私は見ていないものだから、人の評判からしかものが言えないのだが、想像はついていた。

 昔からこの番組では政治風刺はよく出ていたのだが、特に歌丸氏が司会を始めてから、座布団の与え方に納得がいかないようになったと、記憶している。

 円楽あたりが政治風刺の一言を口にすると、すぐに座布団が与えられる。ほかの出演者のユーモアあふれる一言には反応しない。そんなことが度々あった。

 政治風刺もユーモアに富んだひと事なら納得いくのだが、単なる政権批判では、粗末なワイドショーのバカコメンテーターと変わりがない。

 元々、落語は皮肉を込めたウイットとユーモアの交じった一言で、そこには落語独特の”粋”があったような気がする。
 これこそが”日本流の笑い”だと思うのだが、円歌などの政治風刺は単なる政治批判ではないのか。

 そこには”粋”のイの字もないような気がする。