原発ゼロ法案 再エネ偏重では国が傾く



3月12日の産経に

[主張] 原発ゼロ法案 再エネ偏重で国が傾く
という、以下のような記事が掲載された。何かと言えば野党はすぐに原発を即時ゼロにしょうと、口角泡を飛ばす。
 そして、東日本大震災以後、原発の稼働を停止したが、電力の供給に支障は起こらなかった、と、主張する。
 果たして、そうであろうか。

 以下、この産経の記事を引用することで、我が国のエネルギー事情をもう一度考えてみたい。
          引用開始

 「原発ゼロ基本法案」が立憲民主党かなどによって国会へ提出された。
国内の全ての原発廃炉にし、太陽光や風力発電などを増強することでエネルギーの転換を目指すという内容だ。
 原子力の安全性は神話であったと決めつけた上での改革案だが、エネルギーの安定供給という一点だけから見ても、非現実的だと言わざるを得ないものである。

 福島事故の前、国内には54基の原発があって、安定的に電力の3分の1をまかなっていた。
 立民党などは原発ゼロ化の穴を再生可能エネルギーの増産で埋めようとしているが、さすがにそれだけでは困難と考えたようである。電気の消費量の抑制も同法案に盛り込んだ。

 だが、「廃炉」「再エネ」「省エネ」を、改革の3本柱に捉えたこのプランは、大きな無理と矛盾を抱えている。

 先ずは、原発放棄を強いられた電力会社の損失の補償と立地地域の雇用の確保などである。法案は国による適切な対処を求めているが、支援の源は税金だ。

 太陽光パネルなどを所有する富裕層などの痛みは少ないのに対し、一般庶民の負担は、固定価格買い取り制度による電気代の上昇に追加されることで倍加しょう。

 法案は再エネによる電気を2030年までに全体の4割以上にするとしている。つまり残りの6割は、火力発電ということだ。それに加えて、夜や雨天、無風のときには火力発電の出番となる。

 結果として化石燃料輸入費は年額で兆円単位の規模となり、二酸化炭素の削減も進まない。原発の長期停止で現実化している。

 再エネ先進国のイメージが強いドイツだが、電源の主力は火力発電で、劣悪な禍炭火力が多用されている現状を直視すべきだ。ドイツの二酸化炭素の削減にも近年、足踏み感が見えている。

 この基本法案には、さらなる疑問も含まれる。電気のエネルギー源を、原子力以外のものに転換するとしている点だ。

 これでは人類の夢である核融合発電も排除されよう。

 再生可能エネルギーは有用だが,エネルギー源には多様性とバランスが必要だ。日本での原発ゼロは国の土台の基礎杭を引き抜く暴挙に等しい。資源に乏しい島国であることを顧みず、情緒に任せてさおさすと国が傾く。

          引用終わり

 原子力という言葉には、立憲民主党だけでなく他の野党各党(一部を除く)や左派の評論家、裁判官の一部などは、アレルギー反応を起こすらしい。
 最近は、元総理の小泉氏や細川氏なども、このアレルギー症状に感染したのか、現実を無視した”即原発ゼロ”などを叫び、無知な大衆から拍手を受けている。

 しかし、この記事に書かれているように、すぐにゼロ、既存のものを廃炉にできるわけがない。
 今の日本の経済基盤を傾かせないように、国民が適正価格で電力を利用するには、政府が進めるエネルギーミックスの政策が、最も現実的な方法ではないか。

 私はその上で、不安かつ自然の破壊や景観を損ねる太陽光、風力に頼る自然エネルギーの代わりに、豊富な地熱へ目をつけたらどうかと提案したいのだ。

 人間は、便利さ、快適さを一度でも経験すると、我慢が出来なくなる動物だ。
立憲民主党の法案では、足りない分を省電力を呼び掛けるか、法制化して求めるらしい。東日本大震災は、確かに人類に大きな教訓を残した。あの歴史的大災害の直後だから、日本国民は省エネに耐えたのではないか。

 あれから、8年目に入った。いまだに不自由な生活を求められておられる方もいらっしゃるだろう。だが、便利さや快適さにどっぷりと浸った多くの人々に、今さら省エネを説いても不満が噴出するだけではないのか。

 わが国がどこかのような独裁国家であれば、文句を言う奴は適当な罪を着せて監獄行きということも可能だ。しかし、世界に冠たる民主国家の日本では、そんなことは考えられない。

 無尽蔵で簡単に入手できる海水を基にして行う、核融合発電は”夢の発電”と呼ばれる。
 核融合させても、放射能被害はほとんどなく、安全な発電方式だ。私はくわしくはそのメカニズムは分からないのだが、孫、子の時代には人類はそれを利用できる時代を迎えているかもしれない。

 だが、それには核融合の方法、方式などの研究が多く残っている。短絡的に原発ゼロを実行してしまえば、核分裂の研究は遅れてしまう。四方が海である日本。安全で無尽蔵に存在する海水。それを基にした核融合発電の研究は、未来の人類に計り知れないエネルギー源をプレゼントしてくれる。

 その研究は、国家プロジェクトとして、どこの国より早く進めて欲しい。
そんなこんなで、立憲民主党の「原発ゼロ法案」には、はっきりと反対したい。