独裁体制を固めようとする中国、ロシア


[産経抄] 中国の「民の主」となった習近平国家主席 2月27日

 さすが中国である。中国文学者の一海知義さんによると、「民主」という言葉は、2500年も前に既に使われていた。例えば、孔子の著作とされる『書経』にもある。

▼「天惟時求民主」(天は惟ここに民の主を求め)。ただし、ここいう「民主」とは、「民の主」つまり「君主」に当たる。現在のように「民が主」、人民が主という意味は全くない。(『言葉の万華鏡』藤原書店

習近平国家主席(64)はどうやら、「民の主」の座にいつまでも居続けるつもりらしい。中国共産党中央委員会は、国家主席の任期を「2基10年まで」とする憲法の条文を削除する改正案を全国人民代表大会全人代)に提出した。

▼3月に開幕する全人代で可決されると、「終身主席」も可能になる。改正案には、習氏の指導理念の明記も盛り込まれている。もっとも、習氏が手本としているのは、古代中国の王ではない。1949年の新中国建国から死去するまで、27年間も権力の座にあった毛沢東である。

毛沢東への「個人崇拝」が、大量の餓死者を出した大躍進や文化大革命の混乱を招いた。鄧小平が実権を握ると、国家主席の3選を禁止し、集団指導体制をとったのも、その反省からだ。習氏は鄧小平の改革を否定し、「個人独裁」を復活させようとしている。

▼中国で「民主」が現在の意味で使われるようになったのは、19世紀末になってからだという。ただそれは、デモクラシーの日本での訳語を輸入しただけで、結局は根付かなかった。習氏による独裁体制は、対外政策でも覇権主義を強めていくだろう。地域の平和と安全を守るために、日米同盟を基軸とした、民主主義の理念を共有する国々の連携がより一層重要になってくる。

       引用終わり

 習近平汚職追放と掛け声をかけて、将来邪魔になりそうな共産党幹部を捉えたことが、自分への権力集中、終身国家主席という路線を確実にするためにあったことがはっきりとしたということか。
 ロシアのプーチン政権もそうだが、これらの国では民主主義が根付くことは、大変難しいことで、それで国民がよくもまあ、納得するものだと驚くばかりである。

 3月の全人代では、まちがいなく憲法は改正されるのだろう。
もともと、憲法より共産党政府の綱領の方が強い国だけに、憲法改正の手続きも簡単に進められるのであろう。
 日本とは大違いだ。憲法改正により、2期10年という規定を削除し、晴れて習近平は生き続ける限り中国の王様となるのか。

 強大な権利を手にした後が、怖そうだ。
今でも、中国はもの凄い軍事予算で、軍事面の拡充を図っているが、国内の不満分子の取り締まりには、それ以上の予算を計上して、暴動の抑え込みに必死だとか。

 今後、政治犯と言われる人々が、数多く弾圧され、抵抗でもしようものなら逮捕されて監獄行きとなるのだろうか。

 毛沢東時代の反省など、野望を持った1個人の前では、どうにもならない。これが一党独裁共産党政治の正体だ。
 日本の中国びいきの新聞などのマスコミや評論家、学者はどんなコメントを発するのか。
 日本にも大きな影響が出ること間違いなしだ。