もう、ウナギは食わないぞ!

今年はウナギの稚魚が、昨年に比べ異常といえるほど不漁だと、ニュースで聞いていた。
 今日は、家内の○才の誕生日。
日ごろ食べないウナギでも食べながら、ささやかに誕生日を祝おうと、行きつけの店へ出かけた。

 覚悟はしていたのだが、その値段が昨年の1,5倍に跳ね上がり、眼の玉が飛び出そうになった。

 私が子供のころは、近くの川にはたくさんのウナギが生息していた。
初夏から秋にかけて、「ウナギ籠」という細長い竹製の道具を使い、漁をしたものだ。
 昼のうちに田んぼに入り、タニシを獲ってくる。
そのタニシを,石で叩き、叩いたものをウナギ籠に入れる。
夕方になる前に、ウナギが食事にやって来そうな所へ、ウナギ籠を沈め、上から動かぬように石を置いて、次の朝を待つ。

 早朝の水が冷たいとき、それをものともせずに川に入り、自分が沈めたウナギ籠を引き上げる。
 引き揚げる途中の重さや、手ごたえで、豊漁かどうかが分かる。

 一人が3~5本を沈めるのだが、多い時は、20匹以上のウナギがとれた。
当然すべて天然のウナギだ。
 父と長男が、外の井戸近くに作った、簡易流し場で暴れるウナギをさばく。
手作りのまな板の上に暴れるウナギを載せて、”キリ”を頭部に刺しさばいてゆく。

 七輪に火を起こし、炭火でゆっくりと焼いてゆく。白焼きである程度焼けてきたら、”タレ“を付けて、何度も返しながら焼いて行く。だんだん美味しそうな匂いが充満して出来上がり。
 一人が2匹づつくらいを食べると、当分はウナギを食べたいという気持ちが飛んでしまう。

 昔は、日本の川はきれいだったし、ウナギがたくさん居て、私に楽しい思い出を残してくれた。

 ところで、食べ終わり支払いを済ませが、二人分で諭吉さんが吹っ飛んだ。日ごろ食事に金をかけない暮らしをしている分、こんなに高いウナギは2度と食べるものかと思いつつ店を後にする。
 まあ、誕生日は1年に一度だけ。
今日くらいは食事に金をかけても許されるかな…。