「反対、反対」 で国民を守れるか…



”ヒゲの隊長”として知られる元自衛官佐藤正久参院議員が、「我が国の最新国防事情」として松江市内で講演した。佐藤氏は北朝鮮の核・ミサイルについて「日本に対しては、いつでもどこでも落とせるレベルに達している」と指摘して深刻な脅威となっている現状を警告、外務副大臣の立場から「今年が日本外交にとって正念場だ」と述べた。(産経ニュース 2月23日)より

 講演の内容が長いので、私が全てを紹介するのは無理なのだが、要点だけを抜粋させてもらおう。
 その講演の中で、佐藤議員は、一度でもミサイル避難訓練を経験して欲しいと訴える。
 万一、北朝鮮のミサイルが落ちた際、保険は効かない。通常の保険は、戦争や紛争は適用除外。皆さんの財産に被害が出たとき、補償するのは日本政府しかない。だが、「ミサイルが落ちて被害が出たらどうなるんだ」という意見が、国民の中からあまり出てこない。

 国民保護訓練は対テロ対策として取り組んできたところが多く、弾道ミサイルに対する避難訓練は、昨年3月の秋田周辺から徐々に広がりを見せているが、1回経験するかしないかで対応が全然違ってくる。避難訓練は絶対にやって欲しい。

 北朝鮮の脅威だけではない。中国は、今、もの凄く軍備を増強させている。日本の防衛予算は約5兆円だが、半分近くは隊員の給料や食事代。中国の予算は表向きでも日本の3倍に上り、兵器の購入や開発の費用はそれに含まれていない。

 考え方の違いがあるのはいいことだと思うが、この厳しい環境の中で、「反対、反対」を叫ぶ人たちは、どうやって国民の命を守るのか。平和安全法制に反対する人たちは、具体的な対策を出さなければならない。

 福島原発事故のとき、ヘリに搭乗して原発の真上から水を撒くことになった。
あのときのヘリの隊長にどうやって搭乗員を人選したかを聞いたことがある。隊員にも家族がいる。これから結婚する隊員、子どもが生まれる隊員、身内の身体が弱っている隊員も居る。隊長は任務の内容を説明し、希望者に手を挙げさせた。そうしたら、全員が手を挙げた。隊長は涙が止まらなかったそうだ。

 今年は、日本外交にとっては、正念場だ。
日本の安全保障にとっては、北朝鮮の非核化が極めて重要。金委員長がやろうと思えばいつでもどこでも日本にミサイルを落とせるという危機感を、出来るだけ多くの国民と共有し、日米韓を含めた国際社会が連携して北朝鮮に立ち向かうことが重要だ。

 以上、私なりの抜粋を、勝手にさせていただいたのだが、迫りくる危機に対応できない国家というものは、常に、想像を絶する滅亡を覚悟しなければならないのではないか。
 今の日本は、国民だけではなく、政治家、マスコミ、有識者などに共通する危機感の無さが覆っている。

 日々変化する国際情勢を敏感に感じ取り、国家の危機に国民全体が対応できるような、体制づくりが急がれるのではないだろうか。さらに、国防費の増額も検討のまな板に乗せるべきだ。
 いつまでもアメリカの傘で、国が守られているという幻想を捨てるべき時が迫っているとも言えるのではなかろうか。