今年の仕事は終わった。

 自営業というのは、全ての責任を自分で背負い、プランを練ってそれを実行していく。事業が失敗すればたちまち路頭に迷い、成功すればその恩恵を自分だけで独占できる。それで、何十年間も二人で頑張ってきた。
若いころの忙しさを振り返ると、私たち夫婦の人生は、そのほとんどが仕事を中心に回してきた。
 
 30歳で脱サラし、僅かな収入の中で3人の子育てを並行してきた。
50歳までの20年間は、一年のうち休日は、盆が3日、正月が4日の7日間だけであった。
 あとは、毎日仕事、仕事の連続で、今振り返るとよくもまあ、大病や大きな事故に見舞われずに日々を過ごせてきたものだと、何かに感謝せずには居られない。
 
 さすがに、最近は過去のような無茶な頑張りは出来なくなったが、時代が私たちの後押しをしてくれたように感じている。
 
 今日は、これから新年を迎えるための、ささやかな掃除などでのひと頑張りが待っている。
 そして、我が家に初めて年末年始を迎えるために、叔母が3泊4日の予定でやってくる。この叔母は家内の叔母で、私とは血縁的なつながりは無い。
 しかし、年が明けると8年間も世話してきたので、今では他人とは思えない。
身障者の叔母は、余所に出かけると、そこの人に迷惑をかけるからと、これまで我が家以外には日帰りでも出かけたことは無い。
 
 もちろん、車いす生活なので、必ず他人の介助が必要になるので、いつもそのことが頭にあるようだ。幸いに(?)私たち以外には叔母を我が家へと誘う人も居ない。
 
 甥姪以外に、身寄りのない叔母は、家内と私だけには心を開き甘えてくれる。
それでも、これまでは、年末年始を我が家で過ごしましょうと、誘っても遠慮してOKは出なかった。
 
 今年はその気持ちに変化が出たようで、大みそかを私たち夫婦と過ごしたいと、意思表示した。このところ、7年にわたり施設でさびしい大晦日を過ごしていたのだが、今年くらいは賑やかに過ごしたいと考えたようだ。
 
 今の私は、世の中への恩返しなど、大層な事を云う実力はない。せめて身寄りのないに等しい叔母を最後までお世話して、先に旅立った義母などへの恩返しができたらと、日々を過ごす毎日だ。
 
 仕事から解放されるとき、何もすることがないことが怖くなる。叔母のお世話は私の逃げ道になっているのかもしれない。