ASEAN諸国の失望

 トランプ氏のアジア歴訪が終わり、あとにはASEAN諸国会議で、アジアの安定と中国の進出にアメリカがどのような歯止めをかけるかと、期待したアジア諸国の失望だけが残った。
 
 ヤフーニュースでもそのことに触れているが、所詮はトランプ氏は単なる商売人だったことが明らかになっただけであろう。この人には、政治経験もないし、第一アメリカの大統領としての世界観がまるでない。
 1対1の商談は得意なのかもしれないが、アメリカがどのように世界の国々と関わろうと考えているのか。アメリカファーストと言っても、グローバル化した地球上で1国だけでその国の人々が幸せな生活を継続していけることは不可能な時代だ。
 
 中国の南シナ海進出に神経をとがらせて、これまで一番の対中国への強硬路線をとってきたフィリピン。ドゥトルテ大統領に代わり、もう少しは中国との対決路線が強くなるかと思っていたのだが、中国の経済支援という餌に見事に懐柔されてしまった。
 
 後は、世界の大国アメリカへの期待が高まったのだが、彼も中国での”皇帝級”の歓待と28兆円だとかの商談がまとまると、途端に習近平を褒めまくる。
 挙句の果てには、ASEANでの会議には、中国の南シナ海進出、軍事拠点化については言及しないままで終わった。
 
 タイ、インドネシアベトナムあたりの国々は、今回のASEANの会議に大きな期待を寄せていたと思うのだが、彼らが期待したアメリカの親分にはさぞかし失望させられたのではないか。
 
 中国は、2020年代に台湾を併合、その後40年代前後には尖閣も国有化するといったとか、そんなニュースを見たような気がする。
 覇権国家中国は、目の上のこぶであるアメリカが、自分たちの野心を成就するための行動に何も言わないと分かれば、その野望にはますます拍車がかかり、我が国が悠長に構えておれば、民間の船に紛れ込んだ解放軍の船が尖閣を占領。その後には沖縄本島まで視野に入れて北上するであろう。
 
 トランプ氏の任期が途中で切れない場合、下手をすると我が国への脅威は最大のものになりかねない。
 アメリカとの同盟は必要だが、トランプ氏を盲目的に頼るのは危険が大きすぎる気がしてならない。
 安倍政権はそこのところをよく考えて、盤石の防衛体制を固めて欲しいものだ。