寿司の日

 ”寿司の日”と言っても、私がプライベートで付けたネーミングだ。
私の住む町は、人口がわずか23000人ほどの小さな町。一応は”市”なのだが容赦なく過疎は進む。
 したがって、回転寿司などの店は一軒もない。
寿司を食べさせる店はあるのだが、小さな街だけに知り合いばかりが来ていて、そんな顔見知りのお客さんと出会うときは、挨拶だけでは済まないことが多い。
 
 つい、それが煩わしくなり、他の町へと食事に出かける。
それで、ひと月に一度だけ、”寿司の日”を決めて、寿司が大好きな家内へのサービスとして、別府まで出かける。
 糖尿病での食事制限のため、米飯を極力制限していた私は、ここ何カ月も寿司やに顔を出すことを控えていた。
 
 昨日は、時間にゆとりができたので、家内を誘い別府までの1時間をドライブがてら出かけたというわけだ。
 寿司好きの家内は、嬉しさを顔中に出し、すっかり上機嫌。
 
 行きつけの店では、地元でとれた新鮮なネタを仕込んだ寿司が好評で、いつも満席状態だ。
 私は、マグロ、関サバ、鯛などを3皿注文、久しぶりの寿司の味を楽しんだ。
可愛そうなのが家内だ。
私の食事制限に付き合ってくれて、私が「俺にかまわずに好きなものを好きなだけ注文しろ」と言うのだが、「お父さんが可哀そうだから」と、本当はたくさん食べたいはずなのに、ブレーキをかけている。
 
 私の食事制限は、6月から始まった。はじめの三カ月くらいはいつもお腹をすかせて、辛かったのだが、人間の身体はいつの間にか新しい食事環境に順応したのか、最近ではたくさん食べなくても満腹感で満たされるようになった。
 
 ピーク時は78キロあった体重も現在66キロ、腹が出て履けなくなったズボンや服の多くを身につけることができるようになった。
 ただ、洗面所でひげを剃るとき、頬の筋肉が落ち唇の両脇にしわが目立つ。
医者にそのことを告げると
「外からの見た目と、体内の健康のどちらが大切ですか」
と、説教された。
 
 寿司もそんなわけで少し贅沢だが、少量なのだから美味しいネタを使ったものと、都会で食べれば目玉が飛び出るような”関サバ”などを食べて、今月の”寿司の日”は終了した。
 来月が待ち遠しいなあ。