里の秋

深まりゆく秋は、私たちにいろんな景色を見せてくれる。
 車で1時間ほどかかるところに、中津市山国町と言うところがある。
 日田市に抜ける山あいの道沿い、南北に延びる道路沿いに田んぼや畑が連なる典型的な山村だ。
 
 町の中央を流れる山国川は、梅雨時や台風などで、度々洪水を引き起こし、これまでそこで暮らす住民たちへ随分と被害を及ぼしてきた。
 
 その山国の町では、稲刈りの終わった田んぼを利用して「かかしワールド」と名付けられたかかし祭りが開催されている。
 今ではこの祭りの盛況ぶりに近隣の町が、我も、我もと、同じような催しを開いて、対して珍しいものではなくなった。
 
 しかし、老舗(?)の山国町の「かかしワールド」は創業のプライドからか、毎年新しい試みで時の話題を取り入れたり、規模を拡大して見物に訪れる人々を満足させる。
 
 遠くは、福岡や北九州からも、暇を持て余す元気なお年寄りが見物に訪れ、盛んに写真撮影をする。
 紅葉が進む耶馬渓への客と重なり、好天気の休日は、交通渋滞もひどくなってきた。
 
 私もヒマで元気な年寄りの一人として、このかかし祭りに出かけてみた。
中津を抜け、耶馬渓路に入ると、県外ナンバーの車が多くなった。それぞれ紅葉狩りやかかし祭りなどの見物の為やってきたのだろう。
 
 途中で道の駅へ立ち寄ったり、車を止めて写真撮影を始めたりする年配の人々が目立つ。
 今年のかかしの出し物は、オリンピック関係の人形がかなり飾られていた。
冬季オリンピックが近いので、フィギアスケートや、スキーの人形、陸上の桐生選手だろうか、スタートで飛び出す姿を再現したかかしなど、新しい工夫が見られた。
 
 周りの山々の色づきも進み、余所見をすると交通事故を起こしそうだ。         里の秋が~♪静かな~あ、しずかな 里の秋~
となるのは、もう少し先の方だと想いながらハンドルを握りしめた。