選挙の関心事

 これまでの総選挙での国民の関心事は、いつも第一位には景気対策や経済の立て直しなどが入り、そのあとに年金問題が続く。このパターンが定着していたように思える。
 
 どれも国民生活にとっては、大切な事柄で、有権者の関心がそこへ集まることは自然の流れであったと言えよう。
ただし、今回の総選挙では少し色合いが違って見える。
 
 安倍総理がこれまで2度に渡って延期を決断した消費税の10%へのアップ。もしこれが実現すれば、今まで財政再建、国の借金の穴埋めなどに回していたものを、増加分の半分は子育てや教育に回すという少子化対策への使い道を提案した。
 
 これまで教育関係の公約は、票にならないとか言われていたこともあったようだが、ここへきて少子化対策は今後の国を明暗を決める重要事項だと、本腰になったのか。
 子育て世代への手厚い政策は、国家の将来を思うと絶対に必要なことであろう。
 
 2009年の民主党が政権をとったときは、マニュフエストで26000円の子ども手当の支給を決めた。
 お金がかかるこのような政策では、財源をどうするかが問題になるのだが、この時は埋蔵金を探し出してそれを当てるなどと、はなはだ頼りない返答しか民主党の幹部は出来なかった。結局、約束した半額の13000円の支給で、若いママさんたちのブーイングは最高潮に達した。
 
 案の定、埋蔵金などは無くて、事業仕訳で歳出の無駄を省きましょうと、連訪などは一躍時の人になったが、これも法的拘束力は無い上、掛け声だけで時間と共にしぼんでいった記憶がある。
 
 その点今度の自民党の提案は、消費税10%の3党合意の実行で財源を充てるという。消費税は誰もが認める安定財源だ。このほうは実現性がとても高いのではないか。
 
 さらに、いつもは口封じのように選挙のとき候補者からは出てこない憲法の改正問題、それに関連する安全保障や外交などが、関心事の上位を占めているようだ。
 国民の多くに北朝鮮の暴挙に対する怒りや脅威の想いが浸透しているからなのか。
 国民が安心して暮らせる社会、生命財産を守るには国はどうあるべきかなどの、今そこにある危機が現実問題として受け止め、関心が高まったことになったといえる。
 
 なにやかやと、マスコミは注目選挙区の事情を根掘り葉掘り報道するが、国民の関心事の中でミーちゃん、ハ―ちゃん向けの、次元の低い内容に時間を割いている姿勢には賛同はできない。
 いつもなら、憲法改正などが話題になると、神経質なほど護憲、護憲を繰り返すリベラルの人々もいつものようにはヒステリックにはなっていないのではないか。
 
 憲法改正をまな板にのせて、国民的議論を高めるには良いチャンスだ。
いずれは改正せねばならない欠陥だらけの現行憲法だ。
マスコミもこのあたりのことを考えて、憲法の成り立ち、どこに欠陥があるのか、など、議論の余地はあり過ぎるほどなのだから、マスコミとして問題提起してはどうか。
 
 いや、反日のマスコミは、改正の必要性が国民の間で広まることを警戒して、「国の交戦権はこれを認めない」と明記されているこの欠陥品といえる日本国憲法についてはあたらず障らずの姿勢を決め込むのだろうな。