教員が足りない!

 九州では団塊世代の教員の大量退職に続き、第2次ベビーブームの児童が就学年齢に達したときの対応として、多くの教員の採用を決めた。その教員たちが定年期を迎え、再び大量退職に対する問題が起こっている。
 
 それぞれの県教委は不足している教員の穴埋めに頭を痛めているようだ。
福岡県では、保護者あてに「教員のなり手は居ませんか。教職の免許を持つ人を紹介してください」とのお願いを行ったとか。
 
 ある61歳の退職した教員に、自治体の教育委員会から問い合わせがあり
「再び学校現場に出てもらえないか」と懇願されたらしい。
退職前までは社会科を教えていたその人は
「社会の教員は足りているでしょう」
と返事すると
「いいえ、数学を教えて欲しいのです」
社会専門でやってきたのに、今さら数学の指導はできないと、この元教師は申し出を断ったそうだ。
 
 連絡してきた教委の職員は、数学の臨時免許はこちらで用意しますのでと、食い下がったらしいのだが、数学の指導を経験したことのない自分の指導を受ける子どもたちに対して無責任なことはできないと、この話は無かったことにしたのではと思われる。
 
 福岡県下では60名に及ぶ教員の不足を抱えているらしいのだが、どの自治体も少子化の波が止められない現状から、正式の教員の採用を抑えてきたツケがこのような形で噴出したのではないか。
 自治体は福岡に限らずどこも臨時の教員の採用枠を増やして対応している。
臨時職としてなら、いつでも首を切ることができるし、退職金などの心配もしなくて済む。
 どうも我が国の雇用の問題は、民間企業だけが抱えて居るのではなく、このような教員の採用現場でも深刻な問題になっている。
 
 利益を出すことが求められる一般企業なら、人件費を抑えるというのはやむを得ないところがあるのだが、公的機関の場合、とくに子どもの育成に関わる教育現場での人手不足は、すぐさま子どもの成長に影響をおよぼす。
 
 教育現場の充実のために各自治体は、文教予算を増やし教師の採用面の見直しをすべきだと思う。