我が家を訪れる生き物たち

 私は日本の敗戦が決まり、引き揚げたところが国東半島の田舎であったことから
幼少期は、野山に住む小さな生き物を探しておもちゃ代わりにして育った。
 
 そうした経緯からか、水中で生活するタガメゲンゴロウ、メダカ、森を生息域とする昆虫の数々、家にやってくるクモやトカゲなどが大好きだ。
 
クモなどは観察していてもそのしぐさの可愛らしさに、つい永生きしろよと声をかけたくなる。
 最近は背赤コケグモなどの日本にはいなかった有毒のクモが、我が国に住みついてマスコミが騒ぐが、日本の固有種のクモは、害虫を食べてくれたりして人への悪さはしない。
 
 昨夜は長く続いた熱帯夜が治まり、最低気温が23度台まで下がった。
早速秋の気配を感じたのか、我が家の庭ではコオロギの大合唱が始まった。
 虫たちの季節を感じる鋭さに驚かされた。
入浴中には浴室の窓に集まる虫を食べるため、ヤモリが数匹やってくる。
 その中に、私が数年前に命名した”ボスママ”というヤモリがやってきて、恐らくその子どたちであろう、小さめのヤモリを追っ払っている。
 
 ボスママは子育て中か食事中か知らないが、他の仲間と大喧嘩して尻尾がない。
最近少し新しい尻尾が生えてきてはいるが、まだまだ短くてブ格好だ。
何匹もの子どもを産んだお腹は、一時痩せてはいたが今また大きく膨らんでいる。
 我が家の浴室の窓にへばりつき始めてもう5年くらいになる。
夏は毎年このヤモリがやってくるのが楽しみだ。
 
 これから夏が終われば、厳しい冬へ備えるために食事の量を増やしてさらに太るのだろう。そろそろ蝉の鳴き声もクマゼミからアブラゼミツクツクボウシへとバトンタッチされる季節だ。
 
 私も小さな生き物たちに負けないように、体調を整えて冬に備えたいものだとつくづく思う。