盆休みが終わった

 私たち夫婦は、障害のある叔母のお世話のため、老人の介護施設を訪問している。
 訪問の回数は、1ヶ月に25日程度だ。片道45分をかけてホームに着くと叔母が待ち構えていて、笑顔で迎えてくれる。
こうした日々の間隙を縫って、飯田高原へ出かけたり自分の趣味などに時間を費やす。
 
 こうして6年半がが瞬く間に過ぎた。
その間、施設で仲良くなった入居のお年寄り、知らぬ間に亡くなった方、いろいろだ。
家内は1ヶ月に一度のペースで、相も変わらぬお話のボランティアを続けている。
 私は家内のどんな話をするのかの相談に乗ったり、家内のこんな話がしたいけど資料がないとこぼすとき、自作の話を創作して家で練習させる。
 私はにわか演出者となり、そこはこう話せ、ここは気持ちを込めてなどのアドバイスを行ったり。
 
 最近は二人とも、話しのアイディアを練ることが楽しみになってきた。
私は話を創作するのは好きだが、話しはけして上手ではない。
その点、家内の話は面白い。
ごく自然に話始め、いつの間にかお年寄りは当然のこと、そばで聴き入っているヘルパーさんたち、施設の他の仕事を受け持つ関係者などを、話に引き込んであっという間の時間が過ぎて行く。
 
 お年寄りの疲労を計算して、話しの時間は30分程度だが話終わり皆さんの輝く表情を見るとき、ああ、私たち夫婦は逆に、このお年寄りの皆さんに元気をもらっているのだなと、実感する。
 
 今日までお盆休みで、それぞれの入所者のもとへ家族が訪れ、つかの間の親睦を楽しんでいた。
 明日からはまた平常の日々に戻り、元気を失ったお年寄りの顔を見ることになる。
今月の家内の話は8月の最後31日だ。
 今回の題目は大分県のトンチで有名な「きっちょむ」さんの話だ。
さて、どんな反響があるのだろう。