肉体の衰えと、どう付き合う

 ひと月ほど前のこと、右目がゴロゴロするので右目をこすりながら左目だけでPCの画面を観た。
 画面の字が歪み全体が暗くて小さい。
思わず、ぎょっとなってもう一度見つめる。
やはり同じだ。
 
 私は左目の視力がいつの間にか、極端に落ちていることに初めて気が付いた。
 お盆が過ぎるのを待って目医者に駆け込む。
診断する目医者は「うう~ン、解らん。左目だけがこんなに視力が落ちている。白内障なら両方の目がおかしいはずだ」
 私の目の前で考え込んでいる。
その後、他の検査器具を使い写真撮影したりして、網膜に穴がほげていることを突き止めてくれた。
「あなたの目は『黄班円孔』という病気で、私のところでは治療できません。大分の医大病院なら手術できるので、そちらに紹介状を書きましょう」
 と言って、大分の病院行きとなった。
 
 その病院でも同じ診断で、ベッドが空き次第入院するようにといわれ帰宅する。
朝7時に出かけ、夕方の5時に帰宅したのだが、老体には一日がかりの行程は身体にずしんと響いてくる。
 
 手術は2~3時間で済むらしいのだが、術後数日は下向きの生活が待っていて、これがかなりきついらしい。
 
 先週、後期高齢者の仲間入りをして、健康保険証も今までのと違うものが市役所から届いた。
 最近は目の衰えだけでなく、膝の痛みも強くなり立ち上がるのに一呼吸もふた呼吸もかかる。
 
 血糖値の上昇を抑えるために週数度のウオーキングも欠かせない。
年齢を重ねると、身体のあちこちから伝わる悲鳴がわが身をいじめてくるのだが、今年の九州北部地方は毎日のように猛暑日が続く。
 
 私は週末ごとに高原へ逃げ出して、早朝のヒンヤリした空気の中をウオーキングに精を出す。
 幸い家内がうるさいほど「これはなになにに良いからさあこれを食べて」とトウモロコシやオクラ、ブロッコリー、とれたてのキャベツや大根、木熟れのトマトなどを仲良しの農家の方からいただいてくる。
 そのせいか、内臓の方の状態はすこぶる快調だ。
 
 眼球の手術も初めは医者の意見を100%受け入れて、ベッドが空き次第申し込もうと考えていたが、ここ数日でかなり考えが変わった。
 できるだけ身体にメスを入れることは回避して、病気とうまく付き合って行こうと思い始めた。
 あと何年元気でいられるか分からないが、美味しい空気、美味しい水、美味しい食べものを上手に身体に取り入れて年を刻んで行こうなど思うこのごろだ。