フリージャーナリストの活動

昨年からトルコを経由してシリアに行ったといわれるフリージャーナリストの安田純平氏のビデオ映像が話題になっている。
 この人は以前にもイラクで人質となった3人の日本人の消息をルポするためイラクに入り拘束されたことがあったと思う。
 この時は無事解放されたが、今回はシリア北部のイスラムの過激派組織ヌスラ戦線という組織に拉致されたのではないかといわれている。
 
 早速、一部で先の湯川さんや後藤健二さんの事件を引き合いに出し、日本政府は見捨てるのではないかなどの憶測が飛んでいるようだ。
 岸田外務大臣のコメントでは、一刻も早く解放されるように尽くせる手立てはすべて行うと声明が出されている。
 
 ジャーナリストの方々の多くは、今、シリアや中東の地域で何が行われているのか日本国民に伝える義務があり、それがジャーナリストの使命だ。
 安田さんはその想いを強くして、危険なシリア北部へ出かけたに違いない。
日本政府は後藤さんたちと同じような悲劇を繰り返さないために、全力で救出に当たるべきだ。みたいな意見が聞こえてくる。
 
 日本人の多くは、シリアや中東の情勢をそれほど知りたいと望んでいるのか。冷たいようだが私個人としては、中国の南シナ海に海洋軍事施設を築いている様子などの方が知りたい情報だ。
 この海域での中国の動きやその周辺の国々の人々の苦難の方が、気にかかるのだが我が国のジャーナリストといわれる人々は、この件に関してはあまり熱心に情報活動を行おうとはしていない。
 もちろん情報を集めることにも限界もあろうし、危険も伴うであろう。
しかし、ジャーナリストとしての使命を言うのであれば、政府が身の危険が相当に高いシリアなどに出かけるのは自粛して欲しいと通達しているにも関わらずに出かけて拘束される。拘束されれば政府は即救出に全力を尽くせと要求される。
 
 シリアなどで苦難を強いられている多くの人々はたしかに気の毒である。だが、ロシアやアメリカなどの思惑の中で混乱が続く内戦状態の国で、テロが日常茶飯事で起こる中、取材活動するためには、それなりの覚悟をして出かけたはずである。
 日本人の多くは本当にシリアなどの情報、実態を知りたいと願っているのか、疑問に思えてくるのだ。
 
 政府が出かけるのを自粛してくれと言い、それを無視して出かけ拘束される。
一方、何の落ち度もなく北朝鮮に強制的に拉致誘拐された被害者の方々、この人たちの救出さえままならないのに、テロ組織に拘束されたジャーナリストの救出がそう容易にできるとは思わない。
 救出がうまくいかない時は、日本政府は何もしなかった。冷たく見捨てたとマスコミあげて政府をたたく。
 こんなことが繰り返される方がおかしいとは思わないのだろうか。
政府は情報収集を心がけ、救出できそうであれば万全の努力はして欲しい。
しかし、結果が悲劇に終わったとき、すぐさま安倍総理は誰それを見捨てたなどと、一方的に無責任な非難浴びせるのはどうかと思う。