アメリカ大統領予備選と若者
今日は午前中からアメリカ大統領指名選挙の話題でテレビは大賑わい。
しかし、今回の大統領選はこれまでのアメリカで行われてきたこととは大きく違う。
マスコミや政界の重鎮といわれる人たちの考えが、ここへ来た大きく変わったのではないか。
一つは、これまで何ら政治経験が無く、ブレーンも持ってないといわれる大金持ちの不動産王といわれるトランプ氏が、破竹の勢いで支持を広げている現実だ。
加えて、代表的なメディアであるニューヨーク・タイムスやワシントンポストなどは、はっきりとトランプ氏が大統領になることに反対を表明している。
この逆風をものともせずに、暴言を吐き続けながら支持を広げるトランプ氏。日本人も他国の選挙だと無関心ではいられない。
一方、民主党のサンダース氏は、はっきりと「私は民主社会主義者だ」と公言している。資本主義の牙城であるアメリカの大統領候補が「社会主義者」であることが、アメリカ社会で受け入れられるのかという疑問が付きまとう。
しかし、TVなどから伝わる情報では、二人を支持する世代は若者や働き盛りの労働者が多いとのこと。
働き盛りの労働者はトランプ氏を推す人が多いらしいのだが、これは明らかにこれまでのアメリカ国内での政治の在り方。メキシコ移民などに対して自分たちの仕事が奪われるなどの不満がブルーカラーの人々にあるらしい。
しかも、国内の格差は広がるばかりで、不満は一層うっ積していっているのであろう。
サンダース氏の発言でも「所得格差が広がるばかりで、私はこの問題にメスを入れたい」という訴えが若者の支持を集めている。
冷戦が終わり、若者は社会主義の国々でどのような失敗があったか。今のアメリカに広がる格差社会とは比較にならない悲惨な格差社会が構築され、その失敗のもとにベルリンの壁が崩壊し、ドイツが統一された。ソ連も同じような行き詰まりからソビエト連邦は崩れ現在がある。
中国は社会主義体制を維持しながら、経済に資本主義 のシステムを導入して何とか持ちこたえている。
もちろん言論の自由などは許されない。社会主義の体制下ではどうしても一党独裁になりがちで、反対意見は力で封じ込められがちである。サンダース氏が大統領になればそうなるのだと断定はできないが、世界中の社会主義の国々では民主主義とは相いれない結果を残している。
アメリカのサンダース支持の若者たちは、このような事実をきちんと学んでいるのだろうか。
何も改善されないと、政府に不満を持つ労働者は自分たちが選んだ国家の代表が、政治経験を持たない大金持ちの暴言に共感を持って選んだあと、国際社会の動きに協調出来ずに誤った外交路線が露わになったとき、それでも我慢できるのであろうか。
だが、このアメリカの問題は我が国にも言えることだ。
政府や政治家など国のリーダーたちは、真摯に国民の不満の声に耳を傾け、できるところから不満解消を少しずつでも実践していかなければならない。
今後、アメリカの予備選がどのように推移するかは、予想がつきにくいが為政者も国民も冷静に世界の情勢をにらみながら、最良の選択ができる方向へ進んで欲しいものだ。