SEALDsやT-nsSOWLとナチ青年部&紅衛兵の類似

 産経新聞政治部専門委員の野口裕之氏の
安保法反対デモに見る若者の政治利用を憂う、ナチス青年部や紅衛兵
ソックリではないか・・・
 という一文が、今朝の「産経ニュース」で記載されていた。
私はこの野口氏の主張に目を通して、愕然とする想いがこみ上げた。
少し長くなるが、全文を引用させていただくことにする。
 
 
 東京・渋谷の繁華街で安全保障関連法反対を叫びデモ行進する女子高生の制服が、《ヒトラー・ユーゲント》の若者が誇らしげに身を包んだ茶色の開襟シャツと重なった。
 ヒトラー・ユーゲントは1920年代にナチス・ドイツが「製造」したナチ党青少年部(後に国家機関)で、最後は国防軍武装親衛隊編入され、戦場の露と消えた。ナチズムの熱狂に引きずられた犠牲者だ。
 
 民主/共産/維新/社民など安保関連法廃止を目指す野党が、学生団体《SEALDs(シールズ)》の若さを利用して今夏の参議院選挙で党勢拡大を謀る手口はナチ党に通じる。
 安保関連法に反対する高校生組織《T-nsSOWL(ティーンズソウル)》などとラップ調で音頭を取り、参加者がシュプレヒコールを連呼する様を観てそう感じた。
 
 扇動する街宣車上でマイクを握り、若者らを扇動するのは法政大学の山口二郎教授(57)。「安倍(晋三首相)をたたき斬ってやる」と、若者に聞かせたくない下品で物騒な表現をいとわぬ活動家である。いわくー
「こんな情けない日本を創ったことについて、私の世代は本当は責任をとらなきゃいけない。みんなに糾弾されても仕方がない」
 
 ナチス青少年部を想起
 
 若者の情熱や真剣さを政治利用する人、とりわけ教育に携わる教授の責任は問われぬのか。「糾弾」されるべきは若者の経験・学識・自省の積み上げ不足に付け込み「戦争反対!」の連呼で、戦争を防げると洗脳する大人どもだ。
 でも現実は真逆。人類史5000年で主要戦争は1万4000回以上、死者は50億人に達する。過去3400年の内、平和な時代は250年に過ぎぬ。数字は2004年当時で、シリア内戦やウクライナ紛争などでもっと増えている。戦争と戦争の間《戦間期》で生きている悲しき現実が認識できないと、若者は頑迷な左翼の後継者に堕ちる。
 戦史や開戦に至るメカニズム、その反省を基に引き出された抑止力といった教訓より若者を遠ざけ、大人がデモ参加を誘導したのなら、怖い。大人の影響力は、大人の自覚以上に大きく実際、日本国の宰相を公然と呼び捨てにする山口センセイに学び?若者が「アベ」「アベ」と気勢をあげている。
 
 弱りかけた権力を再興する際、腹黒い指導者が目をつけるのが若者だ。ドイツ総統アドルフ・ヒトラー(1889~1945年)がそうだった。クーデター《ミュンヘン一揆》に失敗し逮捕され党活動が禁止される。だが、恩赦で釈放され、1925年にナチ党を再結成するや、ナチ党青少年部を復活させ、ヒトラー・ユーゲントヒトラーの若者)と命名した。ヒトラーは得意の熱弁で「素晴らしき新生ドイツ建設」を説いた。
 若者はつかれた如く引きずられていく。
 
 復讐に使われた紅衛兵
 
 なるほどと、思う。SEALDsやT-nsSOWLの「政治熱」が自発的なのか、炊きつけられたものかはあずかり知らぬ。
 ただ、共産党以外は落ち目で、高齢化も痛々しい日本の左翼・リベラルが起死回生に向け、情熱と真剣さにあふれる若者に飛びついたのは確かだ。野党が参院選で、SEALDsなどと提携する動きも戦術の一環。選挙権年齢の18歳引き下げを前に、政党として一見当然の戦略に見える。否。安保関連法「賛成議員は落選させよう」と叫んでおり、「若者の政治参加」を表看板にできるほどの初々しさはみじんもない。
 野党や学者がプロの活動家育成を謀っているのであれば、若者の人生に責任をもつべきだ。一般的に経験・学識・自省が不足する大多数の若者は、デモに象徴されるが、行動に偏ると視野狭さくに陥る。
 中国の初代国家主席毛沢東(1893~1976年)が既に体験している。毛は農業・工業などの生産において、現実を無視して極端な目標を課す急進的な《大躍進》運動を断行した。失敗し、失脚した毛は復讐に燃え《文化大革命/1966~76年》を策謀。革命を支援させるべく、ひそかに高校生を組織化した。《紅衛兵》。富裕層や共産党内の改革派をつるし上げ、文化財や老舗商店を徹底的に破壊した。文化大革命の死者は数百万~数千万といわれるが、虐殺に加担した紅衛兵は少なくない。
 紅衛兵の狂気は、暴力という目に見える形で全土に広がった。
狂気の行きつく先は決まっている。
 いくつもの派閥に分裂し→「革命過激度」を競い→昨日まで同志だった若者同士が殺し合い→毛ですら統制不能になる。
 結局、大人に使い捨てられるが、毛と同様に「手負いの左翼」は手段を選ばず、日本の若者に知恵を授け最大限に利用するのだろう。
 
 
 笑える「反権力ごっこ
 
 ところで、SEALDsやT-nsSOWLのデモは文字通りの「鳴り物入り」で、若者は楽しむ風があった。警察官は行き交う車より参加者を守っていた。官憲・権力の援助を受ける「官民協力デモ」には笑ったが、「民主主義を否定する暴挙!」などと、民主主義の象徴的風景の中で非難しても響かない。
「戦争をしたがる総理はいらない!」「安倍はやめろ!」と、放言が許される日本社会に、参加者は感謝の念を抱かぬようだ。
 中国の軍事膨張や北朝鮮の核開発に目を閉ざしているのだからムベなるかな
 
 血の粛清を好む中国を敵に回す恐怖心と闘いながら決起した台湾や香港の若者は「お気楽デモ」を見たら仰天するに違いない。
 台湾の若者は2014年、貿易協定批准に反対し立法院を占拠した。協定で台中間経済が緊密化すると、台湾が中国に呑み込まれるとの危機感の発露だった。この
《ひまわり学生運動》に香港の若者は触発された。行政長官選挙をめぐり、中国が民主派候補者が出馬できぬよう規制を14年突如変更。大学生を核に抗議運動《雨傘革命》が起きた。
 台湾・香港の若者は中国に利用されるのを恐れ立ち上がった。
片や、SEALDsの構成員が「野党や大人に利用されていない。自発的な運動だ」と信じているのなら、それこそが「利用されている」証ではないか。
 
 「反権力ごっこ」にうっとり、自己陶酔していると将来、ロクな大人にはまるまい。デモの主力―中高年をじっくり観察・分析してみてはいかが・・・
 
              (産経新聞・政治部専門委員・野口裕之
 
        (引用終わり)
 
 この論文で私の言いたいことは、言い尽くされている。
いつもなら、一言ツケ加えたいたいと思ったりするところだが、足し算も引き算も不要な素晴らしい意見だと思う。