韓国での名誉棄損事件

 産経新聞の前ソウル支局長加藤達也氏の名誉棄損の公判、結果は無罪と言うことで第一審の決着がついた。
 加藤前支局長さん、先ずはおめでとう。ご苦労さまでした。
 
 この公判は、元々普通の国なら全く問題にならない事案であった。
韓国という異常な国での名誉棄損事件で、名誉を傷つけられたのが現職の大統領だと言うことで、大きな話題になった。
 
 しかし、大統領は公人であり、マスコミに限らずいろんな人々あるいは媒体から批判を受ける宿命にあると言える。
当然、批判の中でご本人が名誉を傷つけられるようなケースは多々あることだ。
我が国でも、トップの安倍総理などは野党や反安倍勢力の人々から批判され罵声を浴びせられる事は、日常茶飯事だ。
 
 法政大学の山口二郎教授などは、「安倍の奴、たたっ切ってやる」と大学教授にあるまじき罵声を公のところで発している。
このことは多くの国民が知るところであるが、国民の大多数は快く思わないがとりたてて騒いだりはしない。
 ご本人の安倍総理も大した反論もせずに聞き流している。
 
 これが大方の民主主義国家の態度であろう。
それを韓国は国民あげて大統領の名誉を傷つけたと騒ぎ、検察は刑事告訴に踏み切った。
 
 私は、この国の事だから執行猶予の付いた有罪判決が出るものと思っていた。
しかし、我が国と韓国の外務省の駆け引き、これからの日韓関係などのことを考えた上での結論なのか、結果は無罪と言う判決であった。
 
どうも、この国には法治国家としての土壌が未だに育っていないのではないか。
司法の独立を尊重する姿勢に徹しておれば、検察が名誉棄損で告訴することなどあろうはずがない。
 以前に出た対馬の寺から盗みだされた仏像の事件でも、裁判所は国民におもねる変な判決を出している。およそ、法治国家とは言えない判決であった。
 
 いくら経済が発展して豊かになっても、国民の感情が法律に優先する土壌からは真の先進国、真の民主主義国家の臭いはしてこない。
 韓国国民はこのことをどう考えているのだろうか。
 
 そして、驚くのは肝心の朴クネ大統領が何のアクションも起こさなかったことだ。
「私はこの件で何とも思っていない。名誉棄損で告訴する必要はありません」などと、意思表示をしておれば、問題はここまで大きくはなっていかなかったであろう。
 それとも、大統領は「私は名誉を傷つけられた。厳罰に処して欲しい」とでも思って沈黙を貫いたのか。
 どう考えても不思議な国である。
 
 先ずは、加藤前支局長は無罪となったが、検察は控訴するかもしれない。
これも国民の動向を観てから、控訴するかどうかを決めるのであろうが、世界の国々が注目する裁判だ。
 それに、韓国の司法界はどのような姿勢で臨むのであろうか。