もう、腰砕け?米中が対話路線を手探り
このニュースは世界に向けて発信されたが、ヨーロッパ諸国は経済問題ではアジアに目を向けるが、防衛問題になると、我々にはアジアは関係の薄い遠い地域だとして
関心が薄くなる。
本当は世界の平和、力のバランスなどから目をそらしてよい問題ではないのだが、イギリスのキャメロン政権が習近平を歓待した様子などから、このことは一層鮮明になった気がする。
しかし、中国の抵抗もここまでで、これ以上事態を悪化させてアメリカと戦闘行為を行えば、自分たちが圧倒的な損失を被ると、これ以上の具体的な抵抗は差し控えているようだ。
その上で、面子は重んじたい。国内には、政府は猛烈な対アメリカへの非難を行動と共に行っていると、アピールしている。習近平指導部は国内へ向けて、弱腰だと非難され、国民が不満を募らせることを極力避けたいと考えているのであろう。
現在の軍事力から云えば、中国は到底アメリカの敵ではないだろうから、正面衝突の危険性はできるだけ避けたい。
しかし、中国としては、自分たちの面子は守りたい。そして、国内向けにはアメリカとの対等の交渉の結果、こうなったと言い訳したい。
こう言った中国側の打算に、アメリカがどう対応するのか。
中国側が甘い言葉で、和平の提案をしてくれば、すぐに対話に応じそうである。
だが、中国のしたたかさに騙されてはならない。
中国は、人工島をつくる計画段階から、オバマ政権の出方を探りながら、これならいけるとかの判断を随時行って埋め立てに踏み切ったことは間違いない。
オバマ大統領のリーダーとしての資質を、この数年で中国は読み切り、その上で既成事実を積み上げてきたのではないか。
これで、オバマもようやく、この国の首脳には話し合いでの解決は無理で、行動するしか道は残っていないと、航行の自由作戦の実施に踏み切ったのではないのか。
中国は、今度のオバマの態度は本気だ。
このまま、武力衝突が始まれば、中国は手痛い目に遭うこと必至だ。
それではまずいので、アメリカとの話し合いを進めて、時間を稼ごう。
そのうち、オバマが折れてくれば、再び人工島の開発に拍車をかければよい。
このあたりが、中国の思惑ではないのか。
私としては、アメリカに安易に中国の提案に乗って欲しくない。
それは、中国と言う国はしたたかさから云えば、世界一、或いはロシアと並んで他国の追随を許さない国家であるということだ。
のど元過ぎれば、当時の約束などは平気で反故にすることに、何ら罪悪感を感じることはない。この国の今までの行状を観れば、多くの人々に心当たりが浮かぶであろう。
次に、あと、何年後か解らぬが、今のまま中国の軍事拡張路線が続けば、アメリカを追い越す日が必ず訪れる。
そのとき、中国は必ず牙をむくであろう。
それまで、アメリカを頼りにしてきた我が国以下、アジアの諸国は自国の防衛もままならないまま、中国の覇権に文句も言えず見守るばかりであろう。
いや、ただ見守るだけで事が済めば良いが、そうではない。
そんなときが来てからでは遅いのだ。
我が国は、今からでも防衛予算を増額しながら、自国を防衛するにはどのようなことが必要かを真剣に検討していかなくてはならない。
それには、当然のことだが、憲法改正は避けて通れない。特に、9条の第2項を削除の必要性が現実問題として起こってくる。
自国を防衛することで、戦争する国へなるというロジックは明らかにおかしい。
我が国が他国を侵略するために、軍事を拡張すると言うのであれば何を言われても仕方がないが、そうではない。
自国を守り、平和を維持するための真剣な方策が必要であるということだ。
我々は、南シナ海の緊張がどのように変化するのか、どのように落ち着くのかを注意深く見守っていかなくてはならない。