首相談話(3)

 14日に発表された首相談話に対して、私の最初の印象は少し期待外れの感があり、肩透かしを食わされたとの想いをつづった。
 
 しかし、ブログファンの方から、談話の全文が掲載され、ゆっくりそれを読むと方々に工夫と周到に準備された巧みな文章構造になっていることに気づかされた。
 
 初めは挿入して欲しくない「おわび」や「侵略」の言葉が文章の中で使われていて、なんだ、結局これらの文言を入れているではないか。との印象を持ったわけである。
 
 しかし、それ以外の植民地支配や反省の言葉の使い方にも工夫の跡が見られ、我が国としての責任をはっきりとはうたった文章にはなっていない。
 そのあたりへ早速中国が批判の矢を投げて来ている。
だが、正面切って非難ができないように文章が工夫されているために、中国もこれ以上の追及は難しいのではないか。
 
 韓国に至っては、韓国の野党や反日団体は、韓国国民の要求の通りになっていないと、非難しているが、与党や大統領府は概ね肯定的に受け取っているようだ。
今、日韓の歩み寄りがようやく動き出し、同じテーブルにつくタイミングを見計らっているときだけに、大きくこぶしを振り上げるわけにもいかないのか。
 
 そうした中韓の動きとは別に、朝日、毎日、東京といった反日系の新聞やテレビでは、一斉に首相談話に非難の声をあげている。
 
 朝日などは、ヒステリックと言えるような非難を社説で述べている。
可笑しいのは、自国の行為に対してはこれほど非難を集中させるのに、中国や韓国に対しては非難の非の字の声をあげないことだ。
しかも、二言目には迷惑をかけた近隣諸国といった表現が使われる。近隣諸国という言葉から普通は、日本に地理的に近いアジアの国々が頭に浮かぶ。
 
 だが、インドネシアもフイリピンも台湾もタイもマレーシアもベトナムも日本に対してとても友好的だ。今審議中の集団的自衛権の問題も好意的に賛意を表明している。
 結局、朝日など反日メディアがいう近隣諸国とは、中国、韓国の2国にすぎない。
 
いかにも日本を取り巻く多くの国々が、どこもかしこも否定的に日本を観ているという報道は、中韓寄りのプロパガンダにすぎないのだ。
 
 共産党が言い始めた「安全保障法案」を「戦争法案」と煽る言葉の使い方と極めて似ていると言えよう。
戦争法案という言葉から、すぐに「海外で戦争する国」へと言葉を飛躍させて庶民を煽り続ける。この態度と同じ意識が働いていると思われてならない。
 
話をもとに戻そう。
今回の首相談話の内容は、全方位的で正面から非難はしにくい。そこで反日メディアはヒステリックになり、村山元総理などは自分が発表した文章とは同じではないと異議を述べている。
 
 しかし、安倍総理としては、これで中韓との戦後処理に関する政府の姿勢、つまり謝罪外交に一区切りつけようとの思惑があったのではないか。
 
元々、中韓への戦後の処理は、国交正常化の段階で終わっていることだ。
これに引きずられて対応していけば、どこまでも引きずりまわされるであろう。
 
 それらの点からも意義ある談話であったと思う。