相倉久人氏へ黙とう

今朝ネットニュースで、ジャズ評論家の「相倉久人」さんが亡くなったことを知った。
 
 私がジャズへと傾倒していった原動力は、この人の素人まで巻き込むジャズと言う音楽への愛着であったかもしれない。
 
 その頃、ジャズ評論としては、油井正一さんやスイングジャーナルの編集長だった岩波洋三さん、小山何とか氏、立花実氏などいろいろいたが、相倉さんの評論は圧倒的であった。
 
 ジョン・コルトレーンが「インプレッション」と言うアルバムの中で「アフター・ザ・レイン」を演奏していた。この演奏を聴いた相倉氏は、この後のコルトレーンの精神世界に踏み込み、あの名演奏「至上の愛(ラブ・シュプリーム)」の登場を予言した。
 
 67年ごろコルトレーンが亡くなり、ジャズの大きなうねりが止まった時、相倉氏は「ジャズは死んだ」と宣言して、少しずつジャズの世界から遠ざかり始めた。
 
 何か、全共闘の革命運動の方に気持ちが傾いたのではないかと、寂しい想いをしたことがある。
そして、70年ごろ彼はジャズの世界から姿を消した。
 
 コルトレーン亡き後、オーネット・コールマンマイルス・デイヴィスがジャズを懸命にいじくっていたが、マイルスがヴィッチェズ・ブリューを発表して、私もジャズを聴かなくなった。
 
 相倉氏がどうしてジャズ界から身を引いたのか、真相は知らないままだがジャズ評論の世界も、味気なくなっていったのは否めない。
 
 最近相倉氏は、また、ジャズの世界へ戻っていたようだが、どんな視点でジャズを見つめていたのだろう。
 御年、83歳であったという。とても残念で悲しい。
                                     合掌