アメリカの闇と人種差別

今朝の産経抄では、オバマ大統領の憂鬱について触れていたが、アメリカのおける黒人差別は表面的にはともかく、一部の人々の心の奥底に沈澱している差別主義が、何かあると頭を持ち上げる。
 先日の21歳の白人青年による銃乱射事件での、南部の旗が話題になった件である。
 
 先日のNHK歴史秘話ヒストリア」でも、北海道の歴史とアイヌ、北海道の名付け親松浦武四郎についてを取り上げていた。
 わが日本でもアイヌ民族を差別したり、豊富な海産資源を搾取した松前藩松浦武四郎の確執などにふれ、蝦夷地の歴史とともに江戸末期にこのような日本人が居たことを紹介していた。
 
 民族差別、人種差別は世界中どこの国でもあるし、いつも悲しい目を見るのは、少数民族である。
 敬虔な仏教徒がほとんどのミヤンマーでも、国籍も与えられない少数のイスラム教徒が、ボートピープルとなって、インドネシアなどを目指し遭難。多くの子どもや女性が犠牲になっているニュースが、日本にも伝わってくる。
 
 アメリカの話の戻るが、白人が大量の武器を持って新大陸に上陸。
原住民のインディアンを制圧して土地を奪う。
原住民は狭くて過酷な居留地へと追いやられた。
 
 南部の綿花の栽培地では、船に乗せられ故郷から強制的に引き離されたアフリカ系黒人が奴隷となって、悲しい歴史を刻んだ。
 
 私の少年期から青年期にかけては、マーチン・ルーサーキング牧師マルコムXなどが、先頭に立ち黒人の公民権運動が激しさを増した。
 
 やがて、人種差別の害悪、これを乗り越えることができなければ、アメリカは世界の指導国にはなれないと、アメリカ社会のリーダーたちも気付き始め、黒人に対する人種差別は少しずつ解消されていった。
 ただし、これは表面的な現象であって、白人の気持ちの中にはアメリカ人に限らず白人至上主義というものが、根強く生き残っている。
 
 オリンピックで日本人が活躍すると、すぐにルール変更が行われ、次から日本人が不利になるように仕組まれることなどもその一環であろう。
 
 アメリカ南部では、いまだに白人至上主義がまかり通り、南北戦争での敗戦により少しずつ姿を消していったはずの南部の旗が、先日起きた銃乱射事件の青年のサイトに掲載されていた。
 
 アメリカ史上初の黒人大統領のオバマ氏も、口で唱える理想と何かあると頭をもたげる差別主義の矛盾に対して、全く手が打てないジレンマに陥っているのだろう。
 
 中国でもチベット東トルキスタン新疆ウイグル自治区)の異民族を、漢民族へと同化政策の実施を強めていると聞く。
 ここでは、アメリカよりもひどくて、ウイグル族の女性と漢族の男性を強引に結婚させて、ウイグルの血を薄めるという、人間性を無視した同化政策を進めているのだ。
 
 世界に本当の意味での平和が訪れるのは、人間のそのような行為がいかに愚かなことであるかに多くの国、多くの人々が気付いてからであろう。
 
 その頃には地球という星に、人類が生息できる環境が残されているのであろうか。