今年の修正鬼会

国東半島に春を呼ぶ火祭り「修正鬼会」が、あと10日あまりに迫った。
 
国席半島の修正鬼会は、五穀豊穣を祈る寺院の旧正月の行事である修正会と、
 
みそかの夜に、悪鬼を祓う宮中行事である追難式が変化した火祭りが一体と
 
なったものと言われている。
 
 宇佐神宮との深い結び付きから、国東半島は神仏習合発祥の地と言われているが、
 
修正鬼会が行われる「天念寺」は、れっきとした寺院であるが表に堂々とした鳥居が建立されていて、今も昔の面影を伝えている。
 
修正鬼会が始まったのは養老年間(717~724年)と伝えられ、そろそろ1300年が経過しょうとしている。
 
 旧暦の1月7日(今年は2月25日)午後になると、村の若い衆が締め込み姿で、天然寺の前を流れる都甲川でみそぎを済ませ、天台宗の僧侶による読経が始まる。
 
暗くなって赤鬼と青鬼が登場。ここの鬼は悪者ではなく人々に幸福をもたらす鬼で
 
角を持たないのが特徴だ。
 
読経が終わると、赤鬼と青鬼は火がついたたいまつを振りかざしながら、寺の御堂を踊り回る。この火でたたかれた人々はそれからの1年間は、無病息災で過ごせるという。訪れた人々のために鬼の目と呼ばれる餅を巻いたり、狭いお堂の中は、大いに盛り上がる。
 
 私もカメラを持って勇んで出かけ、たいまつで肩を叩かれたが、帰宅してみるとコートが火の子で穴だらけだったことを思い出す。
 それからは、綿などの火に強いコートで出かけることにした。
 
過疎が進む田舎では、祖先が千年以上にわたり大切に受け継ぎ、次の世代へ伝えてきたこのような行事の続行が厳しいものになっている。
 
 今日は冷たい北風が吹き、寒い一日になりそうだが、鬼会を過ぎると春はすぐそこだ。