球児たちの夏

 夏の甲子園が始まった。
 
 猛烈な暑さの中、白球を追いかける球児たち。
 
 つい、郷土の代表チームの一挙手一動に目を奪われがちだが、噴き出す汗をものともせずに試合に集中している選手たちの姿を見ていると、どちらのチームも応援したくなる。
 
 それだけ、高校野球には独特の魅力を感じるからだろうか。
 
 そんななかで、先日のアメリカ野球の考え方を乗せた記事が気になった。
 
 結論は、メジャーの関係者から日本の高校野球を見ると、日本の先発完投型のピッチャーの起用法は間違っているということらしい。
 
 アメリカでは、子どもたちの将来を考えて、1試合での投球数を100級以下に抑えて起用することに徹しているとか。
 
 私も、常々才能豊かな高校生ピッチャーが、指導者にいわれるまま投げすぎてひじや肩を壊してつぶされていった例が多いことに心を痛めていた。
 
 チームのためとか、勝利のためという大義名分から監督の言うままに、投げ込みすぎて逸材をつぶすという日本の指導の在り方に、さらにおおきな疑問がわいた。
 
 成長過程にある高校生の身体は、そんなに無理が利かないのではないか。
 
 身体ができて、プロの選手としてマウンドに立っても、過剰な使い方をされてダメになった選手は多い。
 
 昔の西鉄ライオンズのピッチャー稲尾和久なども、いい例であろう。
 
 彼は、ダブルヘッダーの2試合を投げて一日に2勝をあげたり、1シーズン42勝をあげたりした伝説の投手だが、過酷な使われかたがいつしか肩やひじの故障を誘発して、260何勝かで、プロの選手生活にピリオドをうった。
 
 大事な使われ方をしていれば、間違いなく300勝以上の成績を残したであろう。
 
 今回の大会でも、将来を期待される逸材は多い。
 
 その点、予選で敗れたが、神奈川の三振をたくさん取ることで有名になった松井君だったか。彼などは横浜高校に敗れたことがこれからの彼の将来には、かえって良かったのではないかとさえ思えてくる。
 
 高校野球の指導にかかわる人たちにお願いしたい。
 
 選手の寿命を縮めるような起用法は、早急に考え直して温かい目で選手の育成に努力していただきたい。