暑さを逃れて
私の家から車で1時間ほどのところに、”岳切り渓谷”というさわ沢歩きの名所がある。
長さ2キロにおよぶ一枚岩の渓谷だ。
水深は10~20センチ。
水温は多分18度から20度くらいであろう。
渓谷の両側には、うっそうと茂る木立が覆いかぶさるように、絶好の木陰を作っている。
サラサラと音を立てて流れる水に足をつけると、適度な涼感が足元から身体全体に広がり、言葉では言い表せないほどの心地よさだ。
周りにはキャンプ場も完備されており、大勢の家族連れが暑さを逃れ涼を楽しんでいる。
中には渓谷の中央に、アルミ製のテーブルやいすを備え受けて宴会(?)に夢中の人々も居る。
子どもらは渓谷を泳ぎ回る淡水魚を求めて、嬌声をあげてタモを振り回している。
足首までしか浸からない渓谷を裸足で歩く。
終点の2キロを歩くと、ごうごうと大きな音がしてきた。
近寄ると、落差が30メートルくらいの滝の上にたどり着いた。
上から滝壺を見下ろす。
渓谷の大量の水はこの滝を落ちて、さらに下の方の川にそそいでいるようだ。
冷や冷や感いっぱいの沢歩きなので、汗も引っ込んだままだ。
私たちは、2時間ほど楽しんで帰宅の途に着いた。
お盆の休みにはもう一度訪れたいと、皆が口々に同じ意見を発した。
駐車場に着いたときは、猛烈な暑さの現実が容赦ない出迎えをしてくれた。