稀勢の里関、お疲れ様でした



 大相撲の横綱稀勢の里が引退を表明した。

 また日本人横綱が不在になるのは、実に寂しい。

 日本中の期待を背負って横綱になったものの、あまりにも真面目なこの人に日々のしかかる重圧。ご本人にしか分からないのだが、横綱になって嬉しいというよりも毎日が針のむしろだったのではないだろうか。

 惜しまれるのは、周囲は日馬富士との一戦で初めて大けがをしたとき、無理して出場すると相撲生命に関わる。ここは完全に良くなるまで休養して完治に努めろ。それこそがファンへの責任を全うすることだ。など、諌める人はいなかったのか。

 私はあの日馬富士トの戦いで土俵下に落ちて、立ち上がったときの彼の苦痛の顔、痛めた肩を押さえながら痛みをこらえる彼の姿を見て、すぐに徹底的に良くなるための道を模索して欲しいと願った。

 しかし、彼の決断は次の場所も出場、それがファンへの責任を果たすことだ。で、あった。

 今さら悔やんでも仕方がないことだが、致命傷になるようなケガを中途半端な治療だけで出場して、さらに悪化させたように思えてとても残念だ。

 ご本人は誰よりも、もうひと花咲かせて、との思いが強かったに違いない。
今は、「お疲れさまでした」という言葉以外に良い言葉が出てこない。