天国から地獄へ…




 暑さから逃れるため金曜日から飯田高原へと出かけていた。
ところが、このもの凄い暑さはどこへ逃げても変わらない。容赦なく照りつける太陽は公平に(?)暑さで人間の身を包む。

 標高1000メートルの飯田高原は、さぞかし涼しいだろうと途中でエアコンを切っての高原ドライブと洒落たが、窓から伝わる風はあまり涼風とは言えない。

 郷について、山小屋の窓を片っ端から開けて回るが、風が止みちっとも居心地は良くならない。郷は3連休を当て込んでさぞや賑やかと思ったのだが訪れている人はゼロ。

 午後4時ごろからようやく涼しい風が吹き始めた。
この風により、郷の気温はどんどん下がり始め、夕日が傾き始めた6時ごろからは、最も居心地の良い時間に変わった。

 夜のとばりが郷を包み、漆黒の闇が広がる。
外へ出て天を仰ぐと頭上には、隙間の無いほどの星空が広がり、ここでしか見られなくなった天の川が広大な天空を横切る。

 しばらく、二人でうっとりとした時間を過ごした。室内の気温は26度を示し気持ちの良い時が流れる。深夜から朝方にかけては、もっと冷え込み気温は16度くらいまで落ちる。毛布が無くては風を引きそうだ。
 ここでは、テレビもNHKBS放送しか見られない。その分、読書や音楽を聴きながら冷えたビールを流し込む。
 高原では、外で過ごしてもあの嫌な蚊が来ない。というか、蚊がこの高原には居ないのだ。

 こうして、昨夜まで気ままに二人だけの郷を楽しんだのだが、今朝、電話に起こされ懇意にしている仲間に緊急事態が生じたと…。

 今日までゆっくりと、高原の夏を満喫する予定だったのだが、急きょ朝早くに郷を後にした。

 9時半ごろ帰宅して、車を降りる。その途端身体は高温の空気に包まれ、思わず頭がくらくらとしてしまった。
 まるで天国で過ごしたような(まだ、一度も天国へ出かけたことはないのだが)気分からいきなり地獄の現実に引き戻された感じだ。

 これから、数日はこの暑さの中で、地獄を味わいながら次の天国行きを待つことにしょう。