「鬼が仏になった里」 日本遺産に



 昨日の午後、嬉しいニュースが飛び込んだ。
日本各地の文化や伝統を国内外に発信していこうと、文化庁が設けている「日本遺産」に、豊後高田市国東市が共同で申請した国東半島一帯の独特な山岳宗教文化を伝える「鬼が仏になった里『くにさき』」が認定された。

 「日本遺産」は、各地に点在する有形・無形の文化財を地域的なつながりや、時代の特徴ごとにまとめ、その魅力を観光資源として国内外に発信していこうと、文化庁が平成27年度から設けていて、今年度は全国から申請のあった76件の中から審査の結果、13件が選ばれた。

 認定の対象となるのは、文化財そのものだけでなく、その魅力を語るストーリーで、県内(大分県内)からは、豊後高田市国東市が共同で申請した国東半島一帯に残る神仏習合の独特な山岳宗教文化を。鬼をテーマに紹介したストーリー「鬼が仏になった里『くにさき』」が認定された。

 この中では、山岳宗教文化を伝える六郷満山と呼ばれる寺院や、寺院に伝わる伝統の火祭り「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」などおよそ60の文化財が盛り込まれていて、ストーリーでは、「くにさきの鬼は、人々に幸せを届ける存在で、寺院などを巡ると鬼に祈る文化を体験でき、修正鬼会では、人と鬼が長年の友のように繋がることができる」としている。

 文化庁は、今後、ガイドの育成やPR活動の費用を補助などして、観光客の増加や地域の活性化を後押ししていくほうしんだという。
                   (dNHK,大分のニュースより引用)

 私は基本的には、「世界何とか遺産」と言うものには、もろ手を挙げて賛成する気にはなれない。 いろいろな地域で、世界遺産に登録をしてもらうために、地域を挙げてのめり込んでいる自治体の姿を苦々しく見つめている方である。

 ただ、長年にわたり地域の人々が守り続けてきた文化遺産は、後世に引き継ぐ貴重な歴史遺産として、大切にするべきだとは考えている。

 私の住む豊後高田市は、天台宗の開祖・最澄の影響を受け、天台山密教が栄えたところだ。養老年間に開山が行われて、今年はその1300年祭ということで、いろんな宗教行事が行われている。

 四方が山ばかりの過疎が進む町では、その地域独特の文化を大切に継承しながら後世に伝える。この営みが日本各地で大切に受け継がれ、今日に至っていると思う。

 観光客が増加して、町が経済的に潤うということには、あまり魅力を感じないのだが、過疎化して町から人がいなくなれば、文化の継承も何もあったものではない。
 先人が残した文化遺産を次につなぐ。これはその時を生きる人々の大きな責務の一つだと思う。
 そんな中で選ばれたことに、少しだけ将来への光が見えた気になった。

 ”世界”ではなく、”日本”遺産だ。世間の注目度は遥かに低いだろう。でも、自分の住む町、そこの人々のこれまでの努力が認められたことは、大変喜ばしいことだ。