愛すればこその歴史

今日の産経ニュースでは、新聞各社の[社説検証]として、高校の新指導要領案についての、以下のような記事が掲載されている。それぞれ、予想されたとおりの主張だ。
 しかし、これからの時代を背負う青少年が、どのような教育の下で健全な人格形成を培っていくかは、一個人の問題ではなく、国家的規模で考える命題である。

 特に、戦後の偏向教育で、ことさらに自虐史観を刷り込まれた、一定年齢の人々の
”後遺症”をすぐそばで観察しながら育った私にとっては、分別が付き始めるころの人格形成を見過ごしには出来ない。

 わが国のオピニオンリーダーを自任する、各新聞社がどのような主張を掲げているのか、産経ニュースの記事を引用させてもらうことにする。

 引用開始

[社説検証] 高校の新指導要領案
          産経「愛すればこその歴史」 「政府の立場が強い」と朝日

 平成34年度から実施される高校の学習指導要領改正案が公表された。1教科27科目を新設するなど大幅な改定で、総則では全教科を通じて生徒が主体的に学ぶことを求めた。

 新設の「歴史総合」は、近代史を中心に日本と世界の関係を複眼的に捉える必修科目だ、わが国の歴史への理解と共に、愛情を深めることが目的として明記された。

 産経は「戦後教育に欠けていた点である。愛すればこそもっと知りたいという探究心も生まれよう」と改定の趣旨に賛同するとともに、「先人が築いてきた歴史と文化に誇りを持って学べる教科書と授業につなげてもらいたい」と述べた。

 教科書や授業の改善に期待を込めた背景には、高校の現行教科書や授業で日本の行為をことさら悪く強調する自虐的傾向が強いことへの懸念がある。教科書執筆者も含まれる教員グループによる高校の歴史用語の「精選案」には、「従軍慰安婦」や「南京大虐殺」といった偏った歴史観に基づく用語が含まれている。産経はその事実を指摘し、「執筆者と編集者には、新指導要領の真意をよく読み込んで教科書をつくってもらいたい」と注文をつけた。

「公共」が自国愛を、「地理歴史」が国土や歴史に対する愛情の深化を目標に掲げた改定案に非難の矛先を向けたのが朝日だ。「学ぶ上で大切なのは、学問的・客観的な事柄について理解を深め、追及する姿勢を養うことだ。そこに人の内面に関わる問題を紛れ込ませるべきだはない。再考を求める」と迫った。

 領土問題でも朝日は、改定案が「尖閣諸島はわが国固有の領土であり、領土問題が存在しないことも扱うこと」などと示していることに異を唱える。「政府見解を知識として生徒に伝えることは大切だ。だが、『これを正解として教え込め』という趣旨なら賛成できない。相手の主張やその根拠を知らなければ、対話も論争も成り立たない」との見解だ。「『多面的・多角的な考察』が全体の基調なのに、こと愛国心や領土問題となると政府の立場を強く押し出す」と総括した点は、安倍晋三政権批判の一環として受け取れる。

 東京も「自国に対する愛情の大切さを説きつつ、領土や歴史を学ばせては危うい」と危惧を表明した。

 各社社説には、教育現場への言及も数多く見られた。

 生徒の思考力や判断力の向上を重視し、全教科を通じて「主体的・対話的で深い学び」の実現を求めた改定案に毎日は「気になるのは、学校がその理念を受け止め、知識を基に議論して学びを深める授業を作れるかどうかだ」と不安をもらす。

 読売は「重要なのは大学入試と一体的な改革を行うことだ。細かい知識を問う試験を続けていては、高校の授業も変わらない」として、新指導要領の趣旨を踏まえた大学入試の見直しを訴えた。

           中略

どれほど立派な指導要領ができても、成果は教育現場の対応にかかっていよう。教科に酔っては現実の政治や国際問題などを扱うが、毎日は、「教え方に迷う教員もでてくるだろう。研修などで教員の力量を上げることが不可欠だ」と指摘する。

 産経は「一面的な見方を排し、歴史や時事問題をとらえる教師の識見と指導力もとわている」と論じ、偏向した授業とならないよう求めた。

「良き教科書『と「良き教師」。全ての高校生がこれら「良縁」に恵まれんことを。
                                      (清湖口敏)

             ( 引用終わり)

 わが国の戦後の歴史を振り返るとき、教育現場での偏向した教育に、子どもたちがどれほど汚染されてきたことか。
 私は、仕事柄、教育関係の知人が大変多い。ほとんどは、退職して悠々自適の生活を楽しんでいるのだが、この世代の人と私の意識には大きな”隔たり”という大河が横たわっている。

 考え方は人それぞれだから、相手の考えを否定したり避難したりすることは、あまりないのだが、私のところに遊びに来た若者や高校生たちの中には、かなり自虐史観を植えこまれた人も居る。

 あげつらうときりがないのだが、そのたびに、教育の恐ろしさ、影響力の強さに唖然とする。
 この記事で最後に締めくくられているように、理想的な教育ということが成立するためには、「良き教材」「良き指導者」「良き環境」に恵まれることが大切だ。
 いくら、指導要領が改まっても、これらの要素が抜け落ちれば、政府の掛け声だけに終わるであろう。

 新聞というメディアでも。産経と朝日では、その主張に大きな隔たりがある。朝日の主張を読むと、この新聞はどこの国の新聞かと、思わず疑問が湧いてくる。次の、さらにその次の時代を背負う若者たちが、自国に誇りを持ち、自国を愛する気持ちが高まれば、きっと良い世の中が訪れる。という希望を持ちながら、残り少ない人生を楽しみたいものだ。