失敗したあ!

私の家内は、叔母が入所している老人施設で、月に1~2回の読み聞かせやそれにまつわるお話を続けてきた。
 
 今年も1月の”出し物”が決まり、19日が迫った。
今回のメインのお話は縁起の良い「七福神」だ。
 
 それぞれの神様がどのような力を持つのか。どこからいらっしゃった神様かなど、を織り交ぜながら話を進めるのだ。
 
 年配の方々に聞いてもらうには、話の合間にイラストが必要になる。
イラストの担当は私だ。
 
 百円ショップで、A3の2倍の大きさの画用紙を買ってきて、布袋さん、毘沙門天、恵比須さんなどを描いてゆく。
 大方の姿は記憶しているのだが、細かいところはネットで調べ、そこに出てくるイラストを参考にさせてもらう。
 
 一昨日は、寒い日だったので、下書きをしただけで終了。
何しろ、7人の神様を描くのだから、結構、時間を要する。
 
 昨日は、絵の具で彩色の工程に入った。
単純なお姿だから、着色はそう面倒ではない。
それでも、仕上げるまでに5時間ほどかかった。
 
 外出していた家内が帰宅する。
私は、得意げな表情を抑えて「七福神の絵が出来上がったぞ」と、家内の前にイラストを並べていった。
 はじめは「まあ、可愛い良い絵ができたわねえ」と、満足げな声を挙げていた家内。
 
 しばらくして「これはちょっと可笑しいのじゃない?」
と、怪訝そうな声色に変わった。
私は自信たっぷりの表情で[何がおかしいのだ?」と、家内に問い返す。
 
 手元は、弁財天の絵を持ち上げながら家内は
「この弁天さんは、髪の毛が途中から別の色になっているのよねえ。なにか、木に竹を接いだみたい」
 
 家内の説明では、弁財天の頭は、長い髪を先の方を束ねて頭のてっぺんで、二つの輪を作り、結び付けているのだそうだ。
何も知らぬ私は、頭の上の8の字様の形は、“リボン”だと思い、髪の毛とは全く違うピンクの色で仕上げたのだ。
 
 本当は、同じ髪の毛だから統一された色で仕上げるべきなところを、目立つ2色で色分けしたことになる。
 
 ああ、また、大失敗をした。私は張り切り過ぎると、いつも失敗がつきまとう。
今から、描きなおせばよいのだが、昨日エネルギーを使い果たし、もう、当分は描きたくない。
 
 家内に「お年寄りの皆さんに、途中でクイズを入れたらどうだ」と提案。
家内は私の言葉が理解できずに「どんなクイズ?何のため?」と問い詰める。
 「一方的に聞き役になっているお年寄りに、途中で気分転換に、『実はこの七福神の中には、お一人だけ間違ったお姿の方がいらっしゃいます。どの神様でしょう?』と、問いかけるのだよ」
 
 合点した家内は、「それはグッドアイデアね」と、私の提案に大賛成。
さて、19日の当日は、どうなることやら…。