はだか祭

 なんだかんだと想い悩んでいるうちに、明日は師走を迎える。
我が家は日ごろは訪れる人もなく、二人だけで暮らす静かで変化の少ない日々を送っている。
 明日はそんな我が家へ、珍しく客が訪れる予定だ。
家内は早起きを実行して、家の内外を磨き上げ(?)ている。
 
 というのも、山へ出かけたとき、懇意な仲間に「12月1日~3日は私の暮らす街の秋祭りがあるよ」と、声かけしたら、大乗り気ですぐに遊びに来ることが決まった。
 
 これからの季節は、外の寒さを気にしながらあったかい部屋で、鍋を囲むのが楽しみだ。だが、いつも二人だけでの鍋は、もう一つもの足りなさがある。
 
 海と山に囲まれ、自然の食材はどこへも引けを取らないと、自負している我々なのだが、鍋を囲むというのは食材の良さだけでは満たされない。
 ある程度の人数が参加して、ワイワイガヤガヤとにぎやかに囲むのが、絶対条件と言える。
 
 明日はいつもの2倍の人数で鍋を囲む。糖尿病もここのところ回復状態がとても良いので、アルコールも糖質の高い清酒などを口にしなければ、気にせずに楽しめそうだ。
 
 肝心の祭りだが、夕方の潮が頃合いの満ち方になる5時過ぎに、市の中央を流れる川の真ん中に設置された、長さが16メートル、重さが5トンの世界一と言われる(ギネス認定)大たいまつに火矢が放たれ点火。
 これを合図に地元の和太鼓のメンバーの演奏が始まる。そして神輿のお出ましだ。
 この神輿は陸上を練った後、丘組から川組にバトンタッチされる。そして、そのまま松明燃え盛る桂川へと入って行く。九州と言ってもこの時期は寒い。ときどきだが雪が舞う中を神輿を担いで川に入る年もある。
 それでも神輿の担ぎ手たちは、元気よく川の中を練り歩き、冷たい水を掛け合いながら気勢をあげる。
 
 その後、1時間近くを松明の灯りに照らされた神輿が川を練り、舞台では和太鼓の演奏でクライマックスを迎える。川を渡り切った神輿は対岸の街を再び練り歩き、下宮へと下って行く。
 
 下宮には、露店が並び子どもたちもこの夜は無礼講。親御さんたちもお小遣いを持たせ子どもをおくりだす。小さな街だけに、それぞれの地域の大人の目も行き届いているので、これまでは事故などが起こったことは無い。
 
 祭りは3日に再び神輿が川を渡り上宮にお帰りになると、めでたく終了する。
秋の豊穣への感謝と、来る来年の無事を祈る毎年の大切な行事だ。いつまでもこのイベントが続いて行くことを願いたい。
 
 客人は楽しんでくれるかなあ。