自民党は国民への対応を考え直せ

 安保法案の衆議院通過が6月中に行われることは、断念せざるを得なくなったと毎日新聞が報じている。
 
 原因は言うまでも無く、憲法学者に安保法案の改正が憲法に照らし合わせたらどうなるかを問うた結果、3人の学者すべてが「憲法に違反している」との見解を示したことだ。
 
 人選もさることながら、自民党の読みの甘さや法案審議の進め方の拙さが、これで浮き彫りになった。
 
 反対する野党やマスコミに大して、ここぞとばかり、法案審議をリードする与党を揺さぶる格好の餌を与えたことになる。
 加えて、共産党などが盛んに「日本は戦争できる国になる」とか、この「戦争法案を廃案に追い込もう」などと発言して、マスコミがその流れを後押しする。
 
 自民党は、強引に法案を通したというイメージを残さないように、丁寧に国会審議を行った。時間もこれだけかけた結果の法案通過だと胸を張りたいための作戦が裏目に出たということか。
 
 私は先にも書いたが、憲法学者憲法を論じるときは、完全に”学問として”条文に反っているか、違憲状態ではないかを判断する。
しかし、政治のシーンは刻々と変わる国際情勢や社会情勢を念頭に入れて、法案というものを検討して行かねばならない。
 
 第一、法律は何のために存在するのかと問えば、それはその国に暮らす人々が、安全に暮らすため、幸せに暮らすためという答えが返ってくることは間違いない。
 
 そのための憲法であり、その他の国際法行政法のような公法、刑法や民放のような私法なのである。すべては人間が不安なく秩序を保ちながら、幸福を追求していくための約束事が法律なのである。
 そして、国家の最高法規である憲法は、全ての法律の最高位に位置して君臨するその国の基本法だ。
 
 我が国では、この憲法が国民の生命、財産、安全を守れない仕組みを明文化(9条)していて、外国の侵略を、どこの国よりも安易にしている。
 
 幸い、戦後70年にわたり、日米安保のもとで、日本は平和を享受してくることができた。講和条約発効のわずか3カ月前に、突然韓国のリ承晩がここからは我らの領海だとラインを引いて、強引に竹島を略奪し、多くの漁民の方々が犠牲になったことはあったが、国民を不幸のどん底に引き込むような戦火にまでは発展していない。
 
 だが、近年の中国の急激な軍備拡張、南シナ海の埋め立て、尖閣諸島への公船の領海侵犯など、我が国の中国による脅威は高まる一方なのだ。
政府はこの実情を声を大にして国民へ訴える。そのような宣伝活動が必要なのではないか。
 チラシを作って配っても効果はあまり期待はできない。
ネットを使うとか、日本各地(各地には自民党支部がある)で集会を開くとかして、映像を駆使して解りやすく、今、日本にはこのような脅威が迫っているという事実を伝えて行く。
 
 このような活動こそが必要なのではないか。
若い人々を中心に、あまりにも平和ボケがひどい。しかも、外敵に攻め込まれた時どんな結果が待っているか。それを防ぐにはそれぞれがどうあれば良いのかなどの教宣活動などを、自民党の組織をあげて実施していくことが必要だと思う。
 
その結果、国防に関する意識が高まれば、法案審議は多くの国民の支持のもと、共産党が何を言おうが、安保法案の改正はうまく行くのではないか。
 
 今、必要なのは国民への啓蒙活動であると想う。