日本人がおかしい

ここ数日、18年前に神戸で起きた14歳(当時)の少年による連続殺人事件の犯人が書いたと言われる手記が出版され、いろんな意見が飛び回っている。
 
 本屋には、話題性を計算して、平積みにされたこの本が大量に店頭販売されているという。
 
 この事件は、1997年の初めに起こったショックレスハンマーによる女児への傷害事件に端を発した。
 被害者の少女の父親は、ブレザー姿の中学生が目撃されていたことから、その犯人らしき少年が通う学校へ、写真などの開示を求めたが学校は拒否。
仕方なく警察を動かしたが、それでも開示はされなかった。
 
 この学校側の処置は、その後で起こる残忍な第2、第3の殺人事件につながったと、世間から猛批判を浴びた。
 
 犯人は小4の少女をゲンノウで撲殺、さらに障害のある少年をタンク山というところに誘い出し殺害。その被害者の頭部を学校の校門に犯行の手紙と共に晒して、世間を震撼させた。
 
 後日、この犯人の少年は逮捕されたが、当時は14歳の中学生。
はじめの事件での学校の対応が適切であったなら、こうした陰惨な事件は防げた可能性が大きい。
 
 あれから18年が経過して、少年は32歳になった。
そして、今回の手記(?)の出版である。
 
 被害者遺族の方々は、出版を止めて欲しい。悲しい想いを再び思い起こすようなことには断固反対するという声明をだした。
 
 しかし、出版社はそんな遺族の想いは無視して、販売にこぎつけた。
私はこの本を読んでいないのだが、中身は一応遺族への謝罪らしい反省の言葉も入っているが、大半は自己弁護と自己陶酔の羅列になっているとか。
 
 このような本を出版する意味が、本当にあるのだろうか。
出版に関わった者たちは、少年の心の闇に迫り再びこんな事件が起こらないようにとの願いを込めて、出版を決めたとか、もっともらしい理屈をこねる。
 
 私に言わせれば、これが出版されたら話題性があるので売れること間違いなし。出版不況の折、大きなビジネスチャンスだと踏んだのではないか。
 
 日本人の一部に、このような人の心を踏みにじっても金儲けに走りたいという拝金主義の輩が増えていることに憤りを感じてならない。
 
 気になるのは、40代くらいの人々は、読みたくない。出版はすべきではないとの意見が多い。だが、20代の女性などは興味があるとか、少年の心に分け入ってみたいなど、事件当時のことを良く知らない(まだ赤ちゃんだった)のに、したり顔でインタビューに答えている。
 
 被害に遭われた遺族の気持ちに寄り添うような姿勢が見られない。
金儲けに熱心な出版社。人ごとだと興味本位で読みたいと答える若者。
日本人の中にこのような可笑しな連中が増殖していると思うと、気になって仕方がない。